* * *

 次の日、ルナと景太は遊園地の入り口前で百合を待っていた。2人の姿に気がつき、百合は慌ててルナ達に駆け寄る。

「遅れてごめん!」

「いや、大丈夫だ」

「早く行こう」

 3人が遊園地の門をくぐると、そこには修学旅行中の学生が大勢居た。

 その中に、ルナが見たことのある制服が混ざっている。

「あの制服……南野女子だぞ、ルナ」

「ほんとだ……」

 ということはハルもここに来ているのだろうか。ルナは胸が躍るのを感じた。

「あれ、花里君じゃない?」

「ほんとだー!」

 南野女子の生徒が、景太に気がついた途端にこちらを取り囲んだ。

「花里君も修学旅行だったんだね!」

「どこ行ってきたの?」

「なんのアトラクション乗るの?」

「お、おう……」

 景太は質問攻めにされて、戸惑いの表情を浮かべる。

 ……しかし困った。南野女子の生徒に囲まれて、身動きが取れない。

 その時。

 誰かがルナの腕を引っ張った。

「えっ!?」

 驚いて抵抗する間もなく、ルナは人だかりの外へ連れ出された。

「誰……?」

「ボクだよ、ルナ」

 ルナが顔を上げると、目の前にはハルが立っていた。

「ハル!どうして……」

 するとハルは悪戯っぽい笑顔を見せて言った。

「ちょっと抜け出しちゃおうよ」