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 自主見学を終え、宿に戻ったルナ達は、部屋で荷物をまとめていた。明日は大阪の遊園地に行くため、これから移動なのだ。

「明日の遊園地、楽しみだな~!」

 鳴海はウキウキとした様子で荷物を詰めている。その横で、景太も目を輝かせていた。

「俺あのジェットコースター乗りたい。日本最長のやつ」

「まじかよ。花里強いな……」

 鳴海はそう言って苦笑いした。その傍らで渡辺が、そういえば、と口を開いた。

「……今日、雨宮と話してたよな。何の話してたんだ?」

「あー……百合の好きな人の話?」

「雨宮好きな人いるのか!?」

 鳴海が食いついてきた。

「いや、分かんない。聞いたけど教えてもらわなかった」

「分かんないんかい!」

 盛大に床に寝そべる鳴海に、ルナは苦笑いした。

 今日の百合の様子を見る限り、百合の好きな人に目星はついていたが、ルナは口にはしなかった。

 百合にも、きっと告白しない理由があるのだと思ったからだ。

「……よし、花里。お前明日ちゃんと聞いてこい」

 渡辺の突然の言葉に景太は首を傾げた。

「なんで?」

「なんでって……気にならないのか?自分で聞いたんだろ?」

「まあ、そうだけど」

「なら、ちゃんと教えてもらえよ。はぐらかされたままじゃスッキリしないだろ」

 渡辺の言葉に、景太は少し上を見上げて、やがて頷く。

「……それもそうだな」

 景太は自分の荷物を持って立ち上がった。

「明日の遊園地に誘ってくる。ルナ、行くぞ」

 景太に促されて、ルナは目を丸くした。

「え、僕も行くの?」

「行かないのか?」

「いや、別にいいけど……」

 そういうところだぞ、景太。ルナは心の中で突っ込んだ。なぜ百合だけを誘わないのか。

 部屋を出る景太を追って、ルナも百合達を探しに出かけた。 

 廊下をしばらく歩いていると、制服姿に着替え終わった百合と菫の姿を見つけた。

「百合、藤堂」

「あら、花里君とルナ君!」

「どうしたの?」

「明日の遊園地、一緒に行かないか?」

「遊園地ですか……?」

 菫は少し悩んで、やがて言った。

「あいにくですけど、他のクラスの友達に誘われているんですの。わたくしは遠慮いたしますわ」

「そっか……百合は?」

 景太に尋ねられ、百合は少し戸惑った。

 景太と自分が遊園地を一緒に歩いていたら、また何か言われるかもしれない。

し かし、もう決めていた。景太が一緒にいたいと思ってくれるなら、一緒にいるんだと。

「……いいわよ」

 百合は笑顔を作って答える。

「じゃあ、入り口前で待ち合わせな」

「分かった」

 百合は頷くと、菫と共に荷物を取りに部屋に戻っていった。

 ルナがちらりと隣を見ると、景太の表情は心なしか嬉しそうだった。

「よかったね、景太」

「ああ」

「じゃあ、僕達もそろそろ行こうか」

 ルナと景太は、荷物を持って旅館の正面玄関へ向かった。