* * *
『こうしてシンデレラは王子と幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし』
体育館のステージで、ハルはシンデレラを演じきった。
(ルナ、見ててくれたかな)
ステージ上からは、たくさんの観客が見える。その中からルナを見つけることはできなかった。
ステージの幕が下りる。舞台袖に向かうと、クラスメイト達が出迎えてくれた。
「ハルちゃん、おつかれさま!」
「良かったよ~」
明るい笑顔を見せるクラスメイト達に、ハルは優しく微笑む。
「ありがとう」
クラスメイトや担任と話をした後、ハルは衣装を脱いで制服に着替えて、ステージ裏からフロアに出た。
「あ!ハル!」
美亜が真っ先にハルの元へ駆け寄ってきた。
「おつかれさま!シンデレラ、良かったよ~!」
「ほんとに?」
「うん!なんだか今日のハルはいつもより輝いてるって感じ!」
「そうかな……?」
ハルは首を傾げた。
「そうそう!黒崎君のお陰かな?」
美亜はそう言って悪戯っぽく笑った。
「ルナのお陰?」
「うん!だって、黒崎君と居たとき、にこにこしてて楽しそうだったもん」
「そうだっけ?」
「そうだよ!」
とぼけつつも、ハルも気がついていた。ルナといるときは自然と笑顔になれていることに。
「ハルはほんとに、黒崎君が好きだね~!」
美亜の言葉にハルはハッとした。
(ボクはルナのことが好き……?)
心の中でそう呟くと、その言葉は胸の中にストンと落ちた。
──お人好しで、優しくて、頑張り屋なルナのことが、好き。どうして今まで気がつかなかったんだろう。……でも、ボクは天使だ。天使は人間と結ばれちゃいけないし、ボクには婚約者がいる……。
黙り込んでしまったハルを見て、美亜は首を傾げる。
「ハル?どうかした?」
「……ああ、何でもないよ」
「ならいいけど!……劇も終わったし、黒崎君に会ってきたら?」
「ルナに?」
「そ!感想ぐらい聞いてきなさいよ!」
美亜は明るく笑って、ハルの背後に回り込むとその背中を押した。
「……うん。そうするよ」
ハルは頷くと、体育館を後にした。
(実らない恋だって分かってる。でも、今だけは……)
ハルは、心の中でそう呟いた。
『こうしてシンデレラは王子と幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし』
体育館のステージで、ハルはシンデレラを演じきった。
(ルナ、見ててくれたかな)
ステージ上からは、たくさんの観客が見える。その中からルナを見つけることはできなかった。
ステージの幕が下りる。舞台袖に向かうと、クラスメイト達が出迎えてくれた。
「ハルちゃん、おつかれさま!」
「良かったよ~」
明るい笑顔を見せるクラスメイト達に、ハルは優しく微笑む。
「ありがとう」
クラスメイトや担任と話をした後、ハルは衣装を脱いで制服に着替えて、ステージ裏からフロアに出た。
「あ!ハル!」
美亜が真っ先にハルの元へ駆け寄ってきた。
「おつかれさま!シンデレラ、良かったよ~!」
「ほんとに?」
「うん!なんだか今日のハルはいつもより輝いてるって感じ!」
「そうかな……?」
ハルは首を傾げた。
「そうそう!黒崎君のお陰かな?」
美亜はそう言って悪戯っぽく笑った。
「ルナのお陰?」
「うん!だって、黒崎君と居たとき、にこにこしてて楽しそうだったもん」
「そうだっけ?」
「そうだよ!」
とぼけつつも、ハルも気がついていた。ルナといるときは自然と笑顔になれていることに。
「ハルはほんとに、黒崎君が好きだね~!」
美亜の言葉にハルはハッとした。
(ボクはルナのことが好き……?)
心の中でそう呟くと、その言葉は胸の中にストンと落ちた。
──お人好しで、優しくて、頑張り屋なルナのことが、好き。どうして今まで気がつかなかったんだろう。……でも、ボクは天使だ。天使は人間と結ばれちゃいけないし、ボクには婚約者がいる……。
黙り込んでしまったハルを見て、美亜は首を傾げる。
「ハル?どうかした?」
「……ああ、何でもないよ」
「ならいいけど!……劇も終わったし、黒崎君に会ってきたら?」
「ルナに?」
「そ!感想ぐらい聞いてきなさいよ!」
美亜は明るく笑って、ハルの背後に回り込むとその背中を押した。
「……うん。そうするよ」
ハルは頷くと、体育館を後にした。
(実らない恋だって分かってる。でも、今だけは……)
ハルは、心の中でそう呟いた。