* * *
翌日、ルナと景太は南野女子高校の文化祭に向かった。
「結局、男2人で遊びに来ちゃったな」
景太の言葉を聞き、ルナは苦笑いする。
「藤堂さんは衣装の最終確認があるみたいだし、雨宮さんは体調が悪いみたいだし……仕方ないよ」
「それもそうだな」
景太はそう言うと、穏やかな様子で頷いた。
ルナが見た限り、景太に落ち込んでいる様子は見られなかった。それどころか、どことなく吹っ切れた雰囲気を感じる。
(雨宮さんが来ないって聞いて心配だったけど……大丈夫そうでよかった)
親友の落ち着いた様子に、ルナは胸をなで下ろした。
「ところで、ハルとはどこで待ち合わせなんだ?」
「玄関前だから、ここで良いはずだけど……」
「ルナ!花里君!」
後ろから声が聞こえて振り返ると、そこにはシンデレラの格好をしたハルが居た。
色素の薄い金髪と白い肌に、青いドレスがよく映えていて綺麗だった。
(本物のお姫様みたいだ……)
見とれるルナの横で、景太がハルに尋ねる。
「ハルのクラスも演劇をやるのか?」
「うん。ボク達はシンデレラをやるんだ。君達は?」
「俺達は白雪姫。俺が白雪姫で、ルナが王子をやるんだ」
「あはは!何それ、面白そう!」
ハルは笑いながら涙を拭った。
「とにかく……ようこそ、南野女子高校文化祭へ。中を案内するよ」
ハルに連れられて、2人は校舎の中に入っていった。
玄関を入った瞬間、景太を見つけた女子生徒達の黄色い声で騒がしくなる。
「うそ!あれ花里君じゃない!?」
「ほんとだ!」
校舎に入ってすぐ、3人は景太のファン達に囲まれてしまった。
「花里君、うちのクラス寄ってかない?パンケーキあるよ!」
「うちのクラスの占いの館も寄って!」
「ていうか、ハルちゃん、花里君と知り合いだったの?教えてよ~!」
「お、おう……」
人だかりの中で、景太はすっかりたじろいでしまっていた。
「うちにも来て!」
「うちにも!」
押しの強い女子生徒達にすっかり気圧されてしまった景太は……覚悟を決めて頷いた。
「……分かった。全部行く」
景太の言葉を聞いた女子生徒達から黄色い声が上がる。
「ハル!ルナ!玄関で待ち合わせな」
それだけ言い残すと景太は女子生徒達に引っ張られていってしまった。
それを見送ったハルは、ルナに向かって微笑む。
「じゃあ、ボク達も行こうか」
「う、うん!」
ハルとルナが歩き出そうとしたときだった。
「あの!黒崎君!」
眼鏡をかけた三つ編みの女子生徒が、ルナに声をかけてきたのだ。
「はい?」
ルナが振り返ると、女子生徒はもじもじとしながら口を開く。
「あの、ずっと黒崎君のファンで……これからも応援してます!」
女子生徒はそう言ってぺこりとお辞儀をした。
まさか自分を応援でくれる人が居るとは。ルナはなんだか照れ臭かった。
「うん。ありがとう」
そう言って微笑むルナを見て、女子生徒は顔を赤くして友達のもとに走って行ってしまった。
「……なんだか照れるな」
そう言って頬を掻くルナを見て、ハルはなんだか面白くなかった。
(ボクだって、体育祭では応援してたし)
ルナが隣を見ると、頬を膨らませたハルがいた。
「は、ハル?どうかしたの?」
ハルは呼びかけられて慌てて笑顔を作る。
「何でもないよ!ほら、行こう。君と行きたい展示があるんだ」
「僕と行きたい展示?」
「うん!きっと君も楽しいと思う!」
ハルはそう言うと明るい笑顔でルナの手を引いた。
ルナの手を柔らかい感触が包む。スベスベした肌と、思っていたより小さな手のサイズに、ルナの胸がドキリと音を立てる。
そして何より、ハルと手を繋いでいるという事実に赤面しながら、ルナはハルに連れられるがままに歩いた。
翌日、ルナと景太は南野女子高校の文化祭に向かった。
「結局、男2人で遊びに来ちゃったな」
景太の言葉を聞き、ルナは苦笑いする。
「藤堂さんは衣装の最終確認があるみたいだし、雨宮さんは体調が悪いみたいだし……仕方ないよ」
「それもそうだな」
景太はそう言うと、穏やかな様子で頷いた。
ルナが見た限り、景太に落ち込んでいる様子は見られなかった。それどころか、どことなく吹っ切れた雰囲気を感じる。
(雨宮さんが来ないって聞いて心配だったけど……大丈夫そうでよかった)
親友の落ち着いた様子に、ルナは胸をなで下ろした。
「ところで、ハルとはどこで待ち合わせなんだ?」
「玄関前だから、ここで良いはずだけど……」
「ルナ!花里君!」
後ろから声が聞こえて振り返ると、そこにはシンデレラの格好をしたハルが居た。
色素の薄い金髪と白い肌に、青いドレスがよく映えていて綺麗だった。
(本物のお姫様みたいだ……)
見とれるルナの横で、景太がハルに尋ねる。
「ハルのクラスも演劇をやるのか?」
「うん。ボク達はシンデレラをやるんだ。君達は?」
「俺達は白雪姫。俺が白雪姫で、ルナが王子をやるんだ」
「あはは!何それ、面白そう!」
ハルは笑いながら涙を拭った。
「とにかく……ようこそ、南野女子高校文化祭へ。中を案内するよ」
ハルに連れられて、2人は校舎の中に入っていった。
玄関を入った瞬間、景太を見つけた女子生徒達の黄色い声で騒がしくなる。
「うそ!あれ花里君じゃない!?」
「ほんとだ!」
校舎に入ってすぐ、3人は景太のファン達に囲まれてしまった。
「花里君、うちのクラス寄ってかない?パンケーキあるよ!」
「うちのクラスの占いの館も寄って!」
「ていうか、ハルちゃん、花里君と知り合いだったの?教えてよ~!」
「お、おう……」
人だかりの中で、景太はすっかりたじろいでしまっていた。
「うちにも来て!」
「うちにも!」
押しの強い女子生徒達にすっかり気圧されてしまった景太は……覚悟を決めて頷いた。
「……分かった。全部行く」
景太の言葉を聞いた女子生徒達から黄色い声が上がる。
「ハル!ルナ!玄関で待ち合わせな」
それだけ言い残すと景太は女子生徒達に引っ張られていってしまった。
それを見送ったハルは、ルナに向かって微笑む。
「じゃあ、ボク達も行こうか」
「う、うん!」
ハルとルナが歩き出そうとしたときだった。
「あの!黒崎君!」
眼鏡をかけた三つ編みの女子生徒が、ルナに声をかけてきたのだ。
「はい?」
ルナが振り返ると、女子生徒はもじもじとしながら口を開く。
「あの、ずっと黒崎君のファンで……これからも応援してます!」
女子生徒はそう言ってぺこりとお辞儀をした。
まさか自分を応援でくれる人が居るとは。ルナはなんだか照れ臭かった。
「うん。ありがとう」
そう言って微笑むルナを見て、女子生徒は顔を赤くして友達のもとに走って行ってしまった。
「……なんだか照れるな」
そう言って頬を掻くルナを見て、ハルはなんだか面白くなかった。
(ボクだって、体育祭では応援してたし)
ルナが隣を見ると、頬を膨らませたハルがいた。
「は、ハル?どうかしたの?」
ハルは呼びかけられて慌てて笑顔を作る。
「何でもないよ!ほら、行こう。君と行きたい展示があるんだ」
「僕と行きたい展示?」
「うん!きっと君も楽しいと思う!」
ハルはそう言うと明るい笑顔でルナの手を引いた。
ルナの手を柔らかい感触が包む。スベスベした肌と、思っていたより小さな手のサイズに、ルナの胸がドキリと音を立てる。
そして何より、ハルと手を繋いでいるという事実に赤面しながら、ルナはハルに連れられるがままに歩いた。