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 体育祭の観戦を終え、ハルは友人の美亜と帰路についていた。

「花里君、格好よかったぁ~……」

 美亜は、景太の走る姿を思い出しながら、手を頬に当て、うっとりと言う。

「美亜、相変わらず花里君に夢中だね」

「だって、格好よかったんだもん!リレーで2人も抜いたとき、心臓止まっちゃうかと思った!」

 花里君、ほんとかっこよかったー!と、再び黄色い声を上げた美亜に、ハルはやれやれと苦笑いした。

 その様子を見た美亜が頬を膨らませる。

「ハルだって黒崎君のこと見てたじゃん!しかも名前で呼んじゃってさ!」

 美亜はハルの顔を覗き込んで尋ねる。

「格好いいって思わなかった?」

 美亜の言葉を聞き、ハルはルナの走りを思い返した。バトンを受け取り、1位だった白組の生徒を追い抜いて颯爽とゴールした姿。そして、ゴールした後の爽やかな笑顔。

(格好よかったなぁ。ルナ)

 ハルが少しニヤけたのを、美亜は見逃さなかった。

「格好よかったんだ!そうでしょ!」

「え~……内緒」

 ハルは悪戯っぽく笑った。