* * *

 久しぶりの部活が終わって、ルナはへとへとだった。更衣室で制服に着替えながら、ルナは溜息をつく。
 
「あ~疲れた……」

 そう零すルナの肩を、景太はポンと叩く。

「まぁ、久しぶりだったからな。それにしてはよく動けてたと思うぞ」

「景太……ありがとう」

「おう。でさ、ちょっと聞きたいんだけど……」

 景太はそう言うと、ニヤリと笑ってルナに尋ねる。

「お前の好きな子って誰なんだ……?」

「えっ!?」

 急に話が巻戻って、思わず素っ頓狂な声を出した。

 顔を赤くして固まるルナを他所に、景太は顎に手を当てて考え込む。

「藤堂か?いや、今朝の教室の話しからすると南野女子か……あ、分かった」

「景太!頼む、ストップ!」

 しかし、ルナの制止を意に介さず、景太はルナの方を見て得意げに言った。

「ハルだろ」

 ルナは顔を赤くしてその場に固まった。

「ハルか……確かに綺麗だもんな。よく笑うし、いかにもお前が好きそうだ」

「景太……!」

 ルナは思わず景太を睨んだ。

「大丈夫だって。応援するよ」

 景太は着替えを終え、ルナにニカッと笑いかける。それを見て、ルナは赤い顔で俯いた。

(改めて言われると恥ずかしいな……)

 これ以上ハルのことを聞かれたら身が持たない。そう思い、ルナは話題を変えようとして、今日は百合が部活に来ていなかったことを思いだした。

「そ、そういえば!雨宮さん今日居なかったね」

 ルナの言葉に、景太は、ああ……と言いながら荷物を持つ。

「体育祭の用具係だからな。その仕事だって言ってた」

 用具係。確か、体育祭に使う備品を確認するんだったか。しかし、その位の仕事なら部活を休まずに済むような気もするが。

「それにしても、少し遅くない?」

 ルナが尋ねると、景太も頷く。

「確かにちょっと遅いな……。様子見てくるから、玄関で待っててくれ」

 景太はそう言うと、体育館に向かって走って行ってしまった。

「あ、景太!……仕方ないか。玄関で待ってよう」

 もしかしたら百合も玄関にいるかもしれない。そう思ってルナは玄関に向かった。