* * *
ルナはアパートの鍵を開け、ヨルを中に入れた。
「ここがルナ兄の家か。狭いな~」
ヨルは部屋に入ると、ルナの座椅子に腰掛けた。
「でもこの部屋の物って、全部魔界から支給されたんだよね。そう考えると太っ腹かな」
ヨルの言う通り、ルナの生活に必要な物は全て魔界王が準備した物だった。どのように準備したのかは分からないが、ルナが人間界に来た段階で、あらゆる生活必需品は揃っていた。
こちらもどのようにしているのか分からないが、定期的に資金援助もされている。そこまで手厚い支援をするなんて、よほど大天使の娘を殺してほしいのか。
「……ところで、ヨルは何しに人間界に来たんだよ」
ルナはずっと気になっていたことを尋ねた。すると、ヨルは意地悪そうな笑顔で応える。
「何しにって……そんなの決まってるじゃん。監視だよ。根性無しのルナ兄が、きちんと大天使の娘を殺すようにね」
「う……」
痛いところを突かれて、ルナは顔をしかめる。
「大体、1年も人間界に居たのに何の進展もないなんて、職務怠慢もいいところだよ」
「だって見つからないし……殺すなんて物騒なことしたくないし……」
「はぁ……これだからルナ兄は……」
ヨルはやれやれとと首を横に振った。
「こんなことになったのだって、ルナ兄が悪魔の仕事をきちんとしなかったせいでしょ?」
「だって人を不幸にするなんて、僕にはとても……」
ごにょごにょと言い訳をするルナに、ヨルは再度溜息をついた。
「悪魔が人に不幸をもたらす理由、忘れちゃった?」
ルナは首を横に振って答える。
「悪魔が人に不幸をもたらす理由は、人を成長させるため……」
「分かってるじゃん」
「……でも、1年間人間界で生活して思ったんだ。やっぱり僕、人間を不幸にしたくない……」
頑なな様子を見て、ヨルは苦笑いして言った。
「ルナ兄、悪魔なんて向いてないね」
するとヨルはルナのベッドに寝そべって言った。
「旅の疲れが溜まってるから、オレもう寝るね」
「ヨル……」
「……色んな物支給してもらってるんだから、悪魔としての自分の立場、考えなよ」
それだけ言うと、ヨルは寝息を立て始めた。
「悪魔としての自分の立場……」
ルナはその場に立ち尽くすしかなかった。
ルナはアパートの鍵を開け、ヨルを中に入れた。
「ここがルナ兄の家か。狭いな~」
ヨルは部屋に入ると、ルナの座椅子に腰掛けた。
「でもこの部屋の物って、全部魔界から支給されたんだよね。そう考えると太っ腹かな」
ヨルの言う通り、ルナの生活に必要な物は全て魔界王が準備した物だった。どのように準備したのかは分からないが、ルナが人間界に来た段階で、あらゆる生活必需品は揃っていた。
こちらもどのようにしているのか分からないが、定期的に資金援助もされている。そこまで手厚い支援をするなんて、よほど大天使の娘を殺してほしいのか。
「……ところで、ヨルは何しに人間界に来たんだよ」
ルナはずっと気になっていたことを尋ねた。すると、ヨルは意地悪そうな笑顔で応える。
「何しにって……そんなの決まってるじゃん。監視だよ。根性無しのルナ兄が、きちんと大天使の娘を殺すようにね」
「う……」
痛いところを突かれて、ルナは顔をしかめる。
「大体、1年も人間界に居たのに何の進展もないなんて、職務怠慢もいいところだよ」
「だって見つからないし……殺すなんて物騒なことしたくないし……」
「はぁ……これだからルナ兄は……」
ヨルはやれやれとと首を横に振った。
「こんなことになったのだって、ルナ兄が悪魔の仕事をきちんとしなかったせいでしょ?」
「だって人を不幸にするなんて、僕にはとても……」
ごにょごにょと言い訳をするルナに、ヨルは再度溜息をついた。
「悪魔が人に不幸をもたらす理由、忘れちゃった?」
ルナは首を横に振って答える。
「悪魔が人に不幸をもたらす理由は、人を成長させるため……」
「分かってるじゃん」
「……でも、1年間人間界で生活して思ったんだ。やっぱり僕、人間を不幸にしたくない……」
頑なな様子を見て、ヨルは苦笑いして言った。
「ルナ兄、悪魔なんて向いてないね」
するとヨルはルナのベッドに寝そべって言った。
「旅の疲れが溜まってるから、オレもう寝るね」
「ヨル……」
「……色んな物支給してもらってるんだから、悪魔としての自分の立場、考えなよ」
それだけ言うと、ヨルは寝息を立て始めた。
「悪魔としての自分の立場……」
ルナはその場に立ち尽くすしかなかった。