* * *
その日の放課後、ルナは景太と百合、そして菫と共に帰り道を歩いた。
「全科目合格できて安心したぜ……」
そう言う景太に、ルナは笑いながら頷く。
「赤点出したら、試合出してもらえないもんね」
「ああ、監督そこの所厳しいからな……」
そうは言いつつも、景太は赤点をとったことがない。いつもギリギリでかわしているのだ。さすがサッカー部キャプテン。勝負強さはなかなかだ。
「まぁ、みんなで花火大会に行けて良かったじゃありませんか」
そう穏やかに言う菫に、百合は頷いた。
「そうね。……でも私達は、まずは関東予選ね」
「おう。見てろよルナ。お前を全国に連れてってやるからな」
「うん!その場には行けないけど、応援してるからね」
4人が談笑ながら歩いていたその時。
「ルナ兄!」
背後から聞き覚えのある声が聞こえ、ルナは思わず振り返った。
男なのにツインテールが似合う華奢な体と、睫毛の長い整った顔立ち。そしてよく通る声。
その少年を、ルナはよく知っていた。
「ヨル……!?」
魔界にいるはずの弟、ヨルだった。
「ルナ、弟いたのか……!?」
「初めて見たわね……」
「ちょっとだけルナ君に似てますわ……」
驚き目を丸くする3人を見て、ヨルは行儀良くお辞儀をした。
「黒崎ヨルです。いつも兄がお世話になってます」
そう言って、ヨルは無邪気な笑顔を覗かせる。ルナはこの状況が理解できずに立ち尽くしていた。
(どうして、ヨルが人間界に来たんだ……?)
ヨルはにこにことしながら話し続けた。
「ルナ兄、みんなのこと紹介してよ」
「あ、ああ……」
ルナはヨルに促されるまま、3人を紹介した。
「親友でサッカー部キャプテンの花里景太と、マネージャーでお世話になってる雨宮百合さん。それと、クラスメイトの藤堂菫さん」
「よろしくな」
「よろしくね」
「よろしくお願いいたします。ヨル君」
「はい!よろしくお願いしますね!」
そう返事をして無邪気に笑いながら、ヨルは菫の手を取って片膝をつく。
「ときにお嬢さん、オレとデートしませんか?」
「で、デート……?!」
顔を赤くする菫に、ヨルは優しく笑いかける。それを見て、ルナは額に手を当てた。
(あ~始まった……)
ヨルには女性を口説く癖がある。しかも性質が悪いことに、ヨルはよくモテるのだ。彼に魅了された女性達は数知れず。よく実家に山のようにファンレターが届くため、ルナも頭を悩ませていた。
「こら、藤堂さんを揶揄うなよ」
ルナはそう注意しながら、ヨルを菫から引き剥がす。
「揶揄ってないさ。美しいレディは口説かなきゃ失礼だろ?」
全く悪びれないヨルに、ルナは溜息をついた。
「……みんなごめん。今日はヨルを連れて帰るから、先に行くね」
「おう、分かった」
ルナはヨルの腕を引っ張った。
「ほら、行くぞヨル」
「分かったよ……またね、お嬢さん」
菫に対してヒラヒラと手を振るヨルを連れて、ルナは帰路についた。
その日の放課後、ルナは景太と百合、そして菫と共に帰り道を歩いた。
「全科目合格できて安心したぜ……」
そう言う景太に、ルナは笑いながら頷く。
「赤点出したら、試合出してもらえないもんね」
「ああ、監督そこの所厳しいからな……」
そうは言いつつも、景太は赤点をとったことがない。いつもギリギリでかわしているのだ。さすがサッカー部キャプテン。勝負強さはなかなかだ。
「まぁ、みんなで花火大会に行けて良かったじゃありませんか」
そう穏やかに言う菫に、百合は頷いた。
「そうね。……でも私達は、まずは関東予選ね」
「おう。見てろよルナ。お前を全国に連れてってやるからな」
「うん!その場には行けないけど、応援してるからね」
4人が談笑ながら歩いていたその時。
「ルナ兄!」
背後から聞き覚えのある声が聞こえ、ルナは思わず振り返った。
男なのにツインテールが似合う華奢な体と、睫毛の長い整った顔立ち。そしてよく通る声。
その少年を、ルナはよく知っていた。
「ヨル……!?」
魔界にいるはずの弟、ヨルだった。
「ルナ、弟いたのか……!?」
「初めて見たわね……」
「ちょっとだけルナ君に似てますわ……」
驚き目を丸くする3人を見て、ヨルは行儀良くお辞儀をした。
「黒崎ヨルです。いつも兄がお世話になってます」
そう言って、ヨルは無邪気な笑顔を覗かせる。ルナはこの状況が理解できずに立ち尽くしていた。
(どうして、ヨルが人間界に来たんだ……?)
ヨルはにこにことしながら話し続けた。
「ルナ兄、みんなのこと紹介してよ」
「あ、ああ……」
ルナはヨルに促されるまま、3人を紹介した。
「親友でサッカー部キャプテンの花里景太と、マネージャーでお世話になってる雨宮百合さん。それと、クラスメイトの藤堂菫さん」
「よろしくな」
「よろしくね」
「よろしくお願いいたします。ヨル君」
「はい!よろしくお願いしますね!」
そう返事をして無邪気に笑いながら、ヨルは菫の手を取って片膝をつく。
「ときにお嬢さん、オレとデートしませんか?」
「で、デート……?!」
顔を赤くする菫に、ヨルは優しく笑いかける。それを見て、ルナは額に手を当てた。
(あ~始まった……)
ヨルには女性を口説く癖がある。しかも性質が悪いことに、ヨルはよくモテるのだ。彼に魅了された女性達は数知れず。よく実家に山のようにファンレターが届くため、ルナも頭を悩ませていた。
「こら、藤堂さんを揶揄うなよ」
ルナはそう注意しながら、ヨルを菫から引き剥がす。
「揶揄ってないさ。美しいレディは口説かなきゃ失礼だろ?」
全く悪びれないヨルに、ルナは溜息をついた。
「……みんなごめん。今日はヨルを連れて帰るから、先に行くね」
「おう、分かった」
ルナはヨルの腕を引っ張った。
「ほら、行くぞヨル」
「分かったよ……またね、お嬢さん」
菫に対してヒラヒラと手を振るヨルを連れて、ルナは帰路についた。