* * *

 あの勉強会の後、ハルに教えてもらったことをもとにルナは家で猛勉強していた。

 結局、あの後もハルに見とれていて集中できなかったのだ。人間界に来てから1年間、こんなこと一度も無かったのに。

(どうしちゃったんだろう、僕……)

 1人溜息をつきながら、ルナはあの日のノートを必死に読み返す。

 ふと、ハルの書いた綺麗な字のメモ書きが目に止まった。

 それと同時に、ハルの仕草一つ一つが蘇る。

 髪を耳に掛けながら柔らかく微笑むハルの姿が目に浮かび、ルナは思わず赤面した。

(やっぱり僕、おかしい……)

 ルナはもう一度溜息をついて、ノートを閉じた。そして気晴らしにスマホを手に取る。

 すると何件かメッセージが来ていることに気がつき、トーク画面を開いた。

(景太からだ)

『他のみんなも誘ったんだけど、夏休み花火大会行こうぜ』

 花火大会……他のみんなも、ということはハルも来るのだろうか。そう思い、ルナは表情を明るくする。

(行きたい!けど……)

 期末テストが不合格だった場合、夏休みに補習が入る。そうなると花火大会は丁度行けなくなってしまう。

(……よし、絶対テスト合格するぞ)

 ルナは両頬を叩き、気合いを入れ直した。