* * *
ルナ達が真剣に勉強する一方で、菫は自分のモヤモヤと戦っていた。
(ルナ君とハルさん、一体どんな関係なのかしら……)
あの日、病院で親しげに会話していたのは見間違いじゃない。あの2人はそういう仲なのだろうか。
(わたくし、ずっとルナ君のことが好きでしたのに……)
仲良さそうに勉強する2人を目の前に菫は居たたまれなくなって立ち上がった。
「ちょっとお手洗いに行って来ますわ」
菫は部屋を出てしばらく歩くと、その場にへたり込んだ。
(わたくし……だめだめですわ)
ずっとアプローチしてきたつもりだった。今日の勉強会もそうだ。だが、彼に気がつく素振りはない。
(……でも、こんなところで諦めていられないわ)
菫は立ち上がり部屋に戻ろうとした。
「あれ、菫ちゃん……?」
部屋に引き返そうとした菫は、丁度部屋を出てきたハルと目が合った。
「ハルさん……どうしたのですか?」
「ちょっとトイレ借りたいんだけど、場所が分からなくて……」
「なら、わたくしが案内しますわ。ついてきてくださる?」
「うん。お願いするよ」
菫はハルを連れて、トイレへ向かって長い廊下を歩き始めた。
2人は、何も話さずに歩いて行く。しかし突然、ハルがその沈黙を破った。
「ねぇ、ボク迷惑じゃなかった?」
ハルの言葉に、菫は驚いて彼女を見た。
「どうして……?」
「だって、初めにボクを見たときすごく怖い顔だったから」
そう指摘され、菫は顔を赤くした。
完璧に動揺を隠していたつもりだったのに、まさか顔に出ていただなんて。
「そんなことありませんわ!」
慌てて否定する菫を見て、ハルは微笑んだ。
「なら、いいんだ」
ハルの優しい返事を聞いて、菫は決まりが悪くなり俯く。
(わたくしったら、みっともないわ)
せっかく自分の家を訪れてくれた大好きなルナの友人に、敵意を見せてしまっていた……。菫は自分で自分を責めた。
(ハルさん、きっといい人だわ。だって、わたくしのこと気にしてくれていたのだもの……。なのにわたくし、何も聞かずに……。このまま、1人で勝手にモヤモヤしてしまってはいけないわ)
そう思い、菫は覚悟を決めてハルに向き直った。
「わたくしもひとつ聞いて良いかしら?」
「ん?良いよ」
「ハルさんは、ルナ君とどういう関係なのですか?」
「ルナとボク……?あぁ」
ハルは事態を察したのか、少し困ったように笑って答える。
「友達だよ」
友達……菫はその言葉を聞いて安堵の溜息をついた。
「もしかして菫ちゃんって、ルナのことが好きなの?」
ハルに尋ねられ、菫は迷わずに答えた。
「ええ。好きですわ。出会ったその日からわたくしは……」
「なら、応援するよ」
思いがけないその言葉に、菫は目を丸くした。
「いいんですの……?」
「うん」
そう言って屈託のない笑顔を見せるハルに、菫は微笑みながら言った。
「……ありがとうございます。ハルさん」
「ハルで良いよ、菫ちゃん」
「ええ。……わたくしも菫でいいですわ」
「うん!……菫、ところでトイレはどこ……?」
「あ、こっちですわ!」
菫は少し慌てながら、ハルをトイレへ案内した。
しかし、心の中は先ほどよりずっと穏やかだった。
ルナ達が真剣に勉強する一方で、菫は自分のモヤモヤと戦っていた。
(ルナ君とハルさん、一体どんな関係なのかしら……)
あの日、病院で親しげに会話していたのは見間違いじゃない。あの2人はそういう仲なのだろうか。
(わたくし、ずっとルナ君のことが好きでしたのに……)
仲良さそうに勉強する2人を目の前に菫は居たたまれなくなって立ち上がった。
「ちょっとお手洗いに行って来ますわ」
菫は部屋を出てしばらく歩くと、その場にへたり込んだ。
(わたくし……だめだめですわ)
ずっとアプローチしてきたつもりだった。今日の勉強会もそうだ。だが、彼に気がつく素振りはない。
(……でも、こんなところで諦めていられないわ)
菫は立ち上がり部屋に戻ろうとした。
「あれ、菫ちゃん……?」
部屋に引き返そうとした菫は、丁度部屋を出てきたハルと目が合った。
「ハルさん……どうしたのですか?」
「ちょっとトイレ借りたいんだけど、場所が分からなくて……」
「なら、わたくしが案内しますわ。ついてきてくださる?」
「うん。お願いするよ」
菫はハルを連れて、トイレへ向かって長い廊下を歩き始めた。
2人は、何も話さずに歩いて行く。しかし突然、ハルがその沈黙を破った。
「ねぇ、ボク迷惑じゃなかった?」
ハルの言葉に、菫は驚いて彼女を見た。
「どうして……?」
「だって、初めにボクを見たときすごく怖い顔だったから」
そう指摘され、菫は顔を赤くした。
完璧に動揺を隠していたつもりだったのに、まさか顔に出ていただなんて。
「そんなことありませんわ!」
慌てて否定する菫を見て、ハルは微笑んだ。
「なら、いいんだ」
ハルの優しい返事を聞いて、菫は決まりが悪くなり俯く。
(わたくしったら、みっともないわ)
せっかく自分の家を訪れてくれた大好きなルナの友人に、敵意を見せてしまっていた……。菫は自分で自分を責めた。
(ハルさん、きっといい人だわ。だって、わたくしのこと気にしてくれていたのだもの……。なのにわたくし、何も聞かずに……。このまま、1人で勝手にモヤモヤしてしまってはいけないわ)
そう思い、菫は覚悟を決めてハルに向き直った。
「わたくしもひとつ聞いて良いかしら?」
「ん?良いよ」
「ハルさんは、ルナ君とどういう関係なのですか?」
「ルナとボク……?あぁ」
ハルは事態を察したのか、少し困ったように笑って答える。
「友達だよ」
友達……菫はその言葉を聞いて安堵の溜息をついた。
「もしかして菫ちゃんって、ルナのことが好きなの?」
ハルに尋ねられ、菫は迷わずに答えた。
「ええ。好きですわ。出会ったその日からわたくしは……」
「なら、応援するよ」
思いがけないその言葉に、菫は目を丸くした。
「いいんですの……?」
「うん」
そう言って屈託のない笑顔を見せるハルに、菫は微笑みながら言った。
「……ありがとうございます。ハルさん」
「ハルで良いよ、菫ちゃん」
「ええ。……わたくしも菫でいいですわ」
「うん!……菫、ところでトイレはどこ……?」
「あ、こっちですわ!」
菫は少し慌てながら、ハルをトイレへ案内した。
しかし、心の中は先ほどよりずっと穏やかだった。