* * *

 勉強会当日の土曜日、ルナはハルとの待ち合わせ場所に向かった。

 季節はすっかり夏。少し歩いただけでシャツが汗ばむ。
 
(暑いな……)

 20分歩いてようやく病院へ着くと、可愛らしい水色のワンピースを着たハルが、こちらに向かって手を振っていた。

(綺麗だな……)

 ルナは思わず、彼女に目を奪われる。

 色素の薄い、柔らかそうなショートボブの金髪。空色の瞳は夏空を切り抜いたように爽やかだ。そして、可愛らしい笑顔。いつまでも見ていたい……そう思わずにはいられなかった。

 ルナがハルに見とれていると、ハルがこちらに駆け寄ってきた。

「ルナ!」

「ハ、ハル……!」

 ハルは、緊張しているルナに向かって明るい笑顔を見せた。

「おはよう。みんなを待たせてるだろうし、早く勉強会に行こう」

 ハルの言葉にルナははっとした。

(そうだ。今日は勉強会……うかうかしてちゃ駄目だ!)

 ルナは自分の両頬をパシンと叩いた。唐突なルナの行動にハルは目を丸くする。

「うわっ!急にどうしたの?」

「……ちょっと気合い入れてて」

 慌てて誤魔化すルナにハルは微笑んだ。

「じゃあ、ボクも真似しようかな」

 するとハルはルナと同じように自分の両頬を叩いた。

 頬を叩いたせいか、暑さのせいか、色白な肌は少し赤みを帯びている。  

「……よし。一緒に勉強頑張ろうね!」

 そう言って明るく笑うハルの表情に吸い込まれそうになりながらも、ルナはしっかりと頷いた。