と、ガシガシと自分の頭をかく。
「そう……だったんだ」
多分、詠斗と燐音が互いを好きになったのはほとんど同じ時期からだ。

それなのに互いのことを思いすぎてこんなにも遠回りをしてしまった。
それに気がついた今、ふたりはお互い目を見交わせて、同時にプッと吹き出して笑った。

「なんだか俺たちすっげー遠回りした感じ?」
「たぶん、そうだね」

あははっと声を出して笑うと嬉しくて幸せで、おかしくって自然と涙が出た。
詠斗が燐音の頬に流れる涙を指先で拭い取る。

「改めて言うけど、燐音、俺と付き合ってくれない?」
真っ直ぐに燐音を見つめて告白した。

燐音の胸がドクンッと高鳴り、熱い血がドクドクと体内を駆け巡る。
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」

ぎくしゃくと右手を差し出してみると、詠斗がその手を掴んで自分の方へと引き寄せた。
そしてまた、気がつけば詠斗の胸の中にいる。

ふたりの熱い体温が絡まりあって、今にも溶け出してしまいそうだ。