「な、なんで? 詠斗はみんなの人気者で、僕なんて必要ないじゃないか」
「人気者だって、好きな子に嫌われたら終わりなんだよ。わかるだろ?」

そう言われて燐音の思考が停止してしまった。
「今、なんて?」

詠斗の体をやっとの思いで引き剥がして聞くと、詠斗は耳まで真っ赤になっていた。
え、照れてる?

「何度も言わせるなよ。俺も、燐音のことが好きだったんだ。ひと目みたときからずっと」
「そ、それって本当に?」

まるで詠斗の照れがうつってしまったかのように燐音も耳まで真っ赤に染まった。
今まで自分の片思いが実ったことなんて1度もない燐音は、詠斗の言葉が信じられなかった。

「あんな可愛い素顔を見せられて、しかもそれを隠してる燐音をほっておけるわけがないだろ」
「で、でもそれじゃどうして最初に付き合うように言わなかったの?」

そう言ってくれれば燐音は嫌でも詠斗の恋人になることになったのに。

「ばーか。そんなことして無理やり恋人になっても嬉しくないだろ。俺はそういう脅してで付き合うとか無理なんだよ」