「それ、本当に?」
詠斗が一歩近づいてきた。
燐音は体が硬直してしまったかのように動けない。

でも、ここまでくればもう今までの気持ちをぶちまけてしまうしかなかった。
この関係が、それで終わってしまうとしても。

「本当だよ。本当は燐音と同じ部屋になってからずっとドキドキしてた。燐音が着替えてる姿とか、燐音の寝顔とかそういうのを見ててどんどん好きになって。だから僕とは――」

距離をおいたほうがいい。
そう言おうとした瞬間だった。

筋肉質な腕に抱きしめられていて、燐音は言葉を切った。
「よかったぁ……!」

次に出てきた詠斗のそんな言葉に燐音は腕の中でキョトンとした表情を浮かべた。
詠斗はどうしてこんなに安心しているのだろう?

男に好きだと言われて気持ち悪がっているんじゃないんだろうか?
「俺、燐音に嫌われたらもう高校生活終わりだと思ってた」
はぁぁぁと、安堵のため息を長く吐き出す。