燐音の言葉に詠斗がハッと息を飲んだのがわかった。
「男同士で抱きしめ合ったり、手をつなぎ合ったり、そういうのは友達とすることじゃない」

言いながらもやっぱり詠斗と視線を合わせることができなかった。
そして自分の気持ちが矛盾していることにも気がついた。

本当はもっと近づきたい。
抱きしめたいし、抱きしめられたいと願っている。

「俺がしてることはおかしいって言いたいのか?」
詠斗からの問いかけに胸がズキズキと痛む。

拒絶するのは自分の心を守るためで、詠斗のためじゃないからだ。
「そうだよ。おかしいよ」

だけど燐音はそう言い放った。
「だからもう――!」

これ以上僕に関わらないでほしい。
そう言おうとした瞬間詠斗に抱きすくめられていた。

痛いほどに抱きしめられて言葉を失う。
「ちょっ……」
慌ててその体を両手で押し返そうとしたけれど、力で適うはずもない。

されるがままになってしまった燐音が気がついたときには、詠斗に唇を奪われていたのだった。