低い山のてっぺんから見る景色は大したものじゃなかったかもしれない。
だけど燐音にとってそれは忘れられない光景となった。

詠斗と並んで見た街はとても美してくため息が出たほどだ。

みんなで下山している途中に京介と克也を見つけるかと思ったが、ふたりは途中で目が覚めたようで先に下山して部屋に引きこもっていた。

自分たちがしたことがバレれば学校にはいられなくなるから、逃げたのだと詠斗はひどく怒っていた。
「ほんっとあいつらどうなってんだろうな」

部屋に戻ってからの詠斗もご立腹で、ずっと腹を立てている。
「きっと詠斗のことが好きなんだよ」

それは最初にふたりに絡まれたときから思っていたことだった。

京介と克也は中学時代からずっと詠斗を見てきたようだし、それが恋心になっていてもおかしくはなかった。

「はぁ? だったらあんな嫌がらせみたいなことしないだろ」
詠斗の近くにいる燐音を疎ましく感じている。

そのことに詠斗はまだ気がついていないみたいだ。