「よし、もう少し頑張ろうかな」
気を取り直して立ち上がった、そのときだった。
登山道から外れた山の木々がざわざわと揺れるのを見たのだ。
今は風も吹いておらず穏やかなのに、ある一部の線も低い木だけが揺れ続けている。
燐音はとっさに先生が言っていたクマ出没の話を思い出して、腰につけた鈴を握りしめていた。
手で揺らして大きな音を立てる。
けれど木々の揺れは止まらない。
それどころか、だんだんこちらへ近づいてきているように見える。
「なんで逃げないんだよ?」
クマならこれで逃げるはずなのに……!
そう思った瞬間、今度は詠斗から聞いた自殺した生徒の話を思い出してしまった。
施設から窓がなくなった理由。
窓がないのに、どこかの窓が開いて今でも飛び降り続けている生徒がいる。
ゾクリと背筋が寒くなって動けなくなってしまった。
早く詠斗のところへ駆け出したいのに、体が氷ついている。
気を取り直して立ち上がった、そのときだった。
登山道から外れた山の木々がざわざわと揺れるのを見たのだ。
今は風も吹いておらず穏やかなのに、ある一部の線も低い木だけが揺れ続けている。
燐音はとっさに先生が言っていたクマ出没の話を思い出して、腰につけた鈴を握りしめていた。
手で揺らして大きな音を立てる。
けれど木々の揺れは止まらない。
それどころか、だんだんこちらへ近づいてきているように見える。
「なんで逃げないんだよ?」
クマならこれで逃げるはずなのに……!
そう思った瞬間、今度は詠斗から聞いた自殺した生徒の話を思い出してしまった。
施設から窓がなくなった理由。
窓がないのに、どこかの窓が開いて今でも飛び降り続けている生徒がいる。
ゾクリと背筋が寒くなって動けなくなってしまった。
早く詠斗のところへ駆け出したいのに、体が氷ついている。