「でも詠斗は違う。僕なんかよりもずっと先を歩けるはずだから」
「へ?」

聞き返された時、燐音はついに足を止めた。
背中に流れ落ちていった汗が乾いてきて少し寒さを感じている。

「僕はここで少し休憩してから行くから、詠斗は先に行って」
「それなら俺も休憩するよ」

同じ用に足を止める詠斗に燐音は左右に首を振った。
これ以上足手まといにはなりたくなかった。

少なくても体力や運動といった面で詠斗と燐音が対等になれるはずがなかったのだ。
悔しいけれど、京介が言ったとおりになった。

「ごめん、1人にしてほしいんだ」
なかなか動こうとしない詠斗へそう言って、燐音は大きな岩の上に座り込んだのだった。