そんなに真剣に悩むことだとも思えないけれど、詠斗にとって鏡を持ち歩くかどうかは本気で悩むべきことなんだろう。
「寝癖とかついてたら恥ずかしいだろ。やっぱり持っていこう」
そう言って手鏡をカバンに入れたことでチャックが閉まらなくなってしまっている。
燐音は呆れたため息を吐き出して詠斗を見つめた。
「わかった。それなら寝癖がついてたら僕が教えてあげるよ。それなら、その鏡は必要ないだろ?」
そう言うと詠斗の表情がパッと輝いた。
「本当か?」
と、キラキラとした瞳が燐音に向けられて、一瞬ドキッとしてしまう。
「そ、そのくらいのことで喜ぶなよ」
燐音は詠斗から視線を外して、ぶっきらぼうに言ったのだった。
そして翌日の朝、まだ少し早い時間帯に1年A組の生徒たちは校門に集まってきていた。
バスはすでに到着していて、座る順番は部屋順だと決まっていた。
つまり、行き帰りもずっと詠斗と燐音は隣同士ということだ。
「燐音は窓際がいい? 通路側がいい?」
「寝癖とかついてたら恥ずかしいだろ。やっぱり持っていこう」
そう言って手鏡をカバンに入れたことでチャックが閉まらなくなってしまっている。
燐音は呆れたため息を吐き出して詠斗を見つめた。
「わかった。それなら寝癖がついてたら僕が教えてあげるよ。それなら、その鏡は必要ないだろ?」
そう言うと詠斗の表情がパッと輝いた。
「本当か?」
と、キラキラとした瞳が燐音に向けられて、一瞬ドキッとしてしまう。
「そ、そのくらいのことで喜ぶなよ」
燐音は詠斗から視線を外して、ぶっきらぼうに言ったのだった。
そして翌日の朝、まだ少し早い時間帯に1年A組の生徒たちは校門に集まってきていた。
バスはすでに到着していて、座る順番は部屋順だと決まっていた。
つまり、行き帰りもずっと詠斗と燐音は隣同士ということだ。
「燐音は窓際がいい? 通路側がいい?」