いつものように少し歪んだ視界にホッと安堵のため息を吐き出した。
中学を卒業してからずっとこれで顔を隠して来たから、少しでも離れていると不安でならない。

「うん。ありがとう」
「どうして、そんなヤツと仲良くするんだよ」

燐音と詠斗の様子を見てたまらず京介がそう聞いていた。
その顔は赤く染まり、目には涙が滲んでいる。

ずっとずっと憧れていた人に裏切られた。
そんな悲痛な気持ちが伝わってきて燐音の胸がチクリと傷んだ。

「そんなヤツじゃない。燐音は俺の友達だ」

「でも、中学時代から詠斗は人気者で、こんな根暗と友達になるようなヤツじゃなかっただろ!? 女子からも男子からもすごくモテて、告白だって沢山されてきたじゃないか!」

根暗と言われて燐音の体がビクリと跳ねた。
それは自分で望んでいた姿だったけれど、いざその言葉を投げかけられると想像異常の痛みを伴った。

だけどそれ以上いに中学時代の詠斗のことを聞かされたことがショックだった。
詠斗がモテていたことなんて見ればわかるはずなのにと、自分がおかしくなる。

「燐音が根暗だと?」
そのとき、詠斗がゆらりと京介に視線を向けた。