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この顔がバレないように高校生活では孤立した生活をしようとしていたのに、なんでこんなことに……!?

よりによってクラス1の人気者にバレるなんて!
今までにないスピードで着替えをした燐音は自分の部屋へとダッシュした。

もし万が一、詠斗がすでにこのことを他の生徒にしゃべっていたらと思うと、気が気ではない。
バンッと大きな音を立ててドアを開けると、まだ赤い顔をした詠斗が部屋の真ん中であぐらをかいて座っていた。

「お、おう。戻ったか」
と言いながらも視線をさまよい、たどたどしい。

そんな詠斗に大股一歩で近づいて「なにか見た?」と質問した。
至近距離の燐音に詠斗の方が戸惑った表情になりながらも「風呂に女がいた」と、返答した。

その瞬間燐音は『入浴中』の札を手から落して両膝をつき、両手で頭を抱えた。
やっぱり見られていたんだ。

バッチリ見られていたんだぁ!
「それを誰かに言った!?」

「い、いや、まだ誰にも」
「まだってことは誰かに言うつもりだった!?」

ガバッと顔を起こして燐音が叫ぶように聞く。
詠斗はぶるぶると左右に首を振って「別にそんなつもりはないけど……もしかして黙っててほしいのか?」