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4畳ってこんなに広かったっけ。
夜になって一人分の布団をひくと部屋の中がやけに広く感じられた。

自分以外の呼吸音がなにも聞こえない部屋。
寝返りを打てばすぐ目の前に詠斗の寝顔があったのに、今はもうない。

最初は嫌だったし混乱したのに、今となっては詠斗のことが恋しくて仕方ない。
子猫もいなくなってしまってこんなに寂しくて悲しい気持ちになるとは思っていなかった。

もともとひとりを望んでいたというのに。
詠斗のせいですっかり弱くなってしまった燐音は布団に足を絡ませてギュッと抱きしめた。

「うぅ~、寂しいよ詠斗」
思わず声に出してつぶやく。

と、その時だった。
突然部屋のドアが開いたかと思うと廊下の光が差し込んできた。

眩しくてそこに誰が立っているのかわからない。
目を細めてみると詠斗が「ただいま」と白い歯をのぞかせて笑った。

「詠斗!?」