幼馴染という特別感のある関係に、女子生徒に人気な燐音の容姿だけが好きだったのだ。
翌日教室へ入った時、燐音はそれを思い知らされた。

教室へ入った瞬間に感じるクラスメートからの視線。
そしてクスクスと笑い声。

一緒にグラビア雑誌を見た友達が挨拶をする前に黒板を指差した。
燐音が黒板を見た瞬間、肩にかけていたカバンがドサリと音を立てて床に落ちた。

《霞燐音はゲイ! 男好きだから多数の女子生徒からの告白を拒絶!》

そんな文字がでかでかと書かれていて、文字の真ん中には男と体を重ねている燐音の絵が描かれていたのだ。

『燐音、お前ってゲイだから女子と付き合わなかったのか?』
友達からの言葉が引き金になって燐音はすぐに黒板消しを握りしめた。

必死になってラクガキを消しているその姿は、自分がゲイだと認めているようなものだった。
燐音がラクガキを消している間にクラスメートたちのざわめきはどんどん大きくなっていった。

『本当にゲイなんじゃない?』