そのつけが、回ってきたのだ。
『え……っと』

なんと言えばいいかわからず、言葉が出てこない。
背中に汗がダラダラと流れていくのに、口の中はカラカラ乾燥した。

『質問を変えようかな。燐音には、好きな子がいる?』
『いる……けど……』

それは明里じゃないんだ。
明里じゃない。
『僕はゲイだ』

明里じゃないと告げるだけでよかった。
それだけで明里は諦めてくれただろう。

だけど僕の喉から出た言葉は、すべてを告白するものだった。
両手で拳を作り目に力を込めていい切った燐音に、明里はみるみる内に笑顔を消した。

さっきまで頬が赤くて愛らしかったのに、それも消えていく。
『え?』

明里が理解できないという様子で左右に首を振った。
『そんなわけないでしょう? だって、私達毎日一緒に帰ってるんだよ?』

明里の声が震える。