明里がブンブンと左右に首を振る。
その顔が少し赤く鳴っていることに気が付いて、燐音は嫌な予感を覚えた。

今まで何度と無く経験したシチュエーションに、頬を赤らめる女子生徒。
あぁ、どうしてもっと早く気が付かなかったんだろう。

と、自分の鈍感さを呪った。
『あのさ燐音。燐音が誰とも付き合わないのって、もしかして好きな子がいるから？』

急にモジモジしながら質問してくる明里。
これはまずい展開だ。

どうにかごまかして逃げないと、明里まで自分のことを……。
『それってさ、私とか？』

明里が続けた言葉に燐音は固まってしまった。
大きく目を見開いて明里を見つめる。

明里は顔を真赤に染めて、それでも燐音をまっすぐに見つめ返している。
思えばそう思い込んでも仕方のない関係を続けてきたかもしれない。

毎日のように一緒に帰っていたし、クラスメートに茶化されても適当に流すだけでちゃんと否定してこなかった。