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それから数時間後、またドアがノックされたかと思うとこちらの返事も待たずにドアが開かれていた。

顔をのぞかせたのは濡れた髪の毛に肩にタオルをかけた生徒で、手には『入浴中』と書かれたプラスチックの札が持たれていた。

「次、お前らの番だから」
チラリと狭い室内を見ただけで特に表情も変えず燐音に札を手渡すと、さっさと行ってしまった。

「よっし、風呂か」
振り向くと詠斗はすでにタオルと下着の準備をしている。

「ぼ、僕は後からでいいから」
燐音はそう言って詠斗に札を差し出した。

「後からって言ってもひと部屋15分ずつだから、一緒に入らないと時間がなくなるぞ?」
「じゃ、じゃあ、君が10分使ってよ。僕は5分でいいから」

本当は登校初日で体はクタクタだったから、ちゃんと湯船に浸かりたかった。
だけど別々に入浴するのなら、そんなことも言っていられない。

今日はザッとシャワーを浴びただけで終わりになりそうだ。
「なんでだよ? 裸になるのが嫌なのか?」

「まぁ、そんなところ」
燐音はそう言うと、札を詠斗に押し付けた。