試しに付き合ってみようかと、心が動いたことも何度もある。

だけどその度に脳裏に好きな男子生徒の顔が浮かんできて、どうしても告白を受け入れることができなかった。

勇気を出して告白してくれた子にも失礼だし、やっぱり自分の気持ちに嘘をつきたくなかったから。

『また告白されたの?』
告白された翌日には明里が必ずそれを嗅ぎつけて、好奇心むき出しの質問をしてきた。

『誰からその情報を聞いてるんだ?』
『秘密! 私の情報網をなめないでね』

自信満々に言う明里に燐音は呆れてため息を吐き出した。
『それで、今度はどんな子だったの?』

『どんなって……見た目は可愛い子だったよ』
友人たちに寄り添われて泣きながら帰る姿を思い出すと胸がチクリと痛む。

自分なんかが女の子の気持ちを踏みにじってしまったことが申し訳なくて仕方ない。
『燐音って可愛い系の子が好きじゃないの?』

『そんなことはないけど……』
友達にするなら可愛くてふんわりとした雰囲気の子がいいなと思う。