質問する声が震えないように必死に我慢した。
詠斗が目を大きく見開いたかと思うと、気まずそうに視線を伏せた。

その仕草だけで質問の答えはわかってしまったけれど、燐音は詠斗の言葉を待った。
「たぶん、両方大丈夫なんだと思う」

おずおずと答えたそれは燐音を気遣った答えだった。
「僕以外の男を付き合った経験は?」

「……ない」
左右にゆるく首を振って答える詠斗に燐音は大きく息を吐き出した。

きっとそうだと思っていた。
詠斗をこちらの道へと引きずりこんでしまったのは、自分なのだという直感があったから。

燐音の心臓は早鐘を打ちはじめて呼吸が乱れてくる。
だけど悟られないように笑顔を作り続けた。

「そっか。じゃあ、中学までは女の子と?」