「あのさ詠斗。詠斗は昔からすごくモテたでしょう?」
「はぁ? なんだよ急に」

詠斗は子猫と遊びながら返事をする。
燐音はゴクリと唾を飲み込んだ。

いつだったら、京介と克也のふたりがなにか言いかけたことがある。
あのふたりは詠斗の愛情表現が過激なことを知っていた。

つまり、以前誰かと付き合ったときも同じように接していたということだ。
そう考えるだけで胸がチクリと痛くなる。

昔の恋についてなんて知りたくない。
でも……この関係を少しでも長く続けるためには、それも必要なことだった。

「ずっと気になってたことがあるんだ」
「今度はなんだよ?」

視線を子猫から燐音へ移動させた詠斗は、その真剣な表情に驚いて子猫と遊ぶ手を止めた。
子猫はまだまだ遊び足りないようで詠斗に近づいてくるけれど、それにも気が付かなかった。

「詠斗の恋愛対象は、男? 女?」