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とっても恥ずかしいトイレタイムが終わって部屋に戻ってきたころ、ようやく足のしびれが消えて1人で立てるようになっていた。
「子猫が可愛いからって我慢しすぎるなよ?」

「わかった」
頷いたものの、燐音の頭の中にはみんなの前でお姫様抱っこされたことでいっぱいで、未だに恥ずかしくて顔が赤いままだった。

「おい、お前ももう少し詠斗に気を使えよなぁ」
注意された子猫は大きくあくびをして、ひざ掛けの中から這い出してきた、

十分に睡眠をとって今度は遊びたくなったようで、今度は詠斗の足にしがみついて甘噛しはじめた。
「なんだよ、今度は遊びたいのか? わがままなヤツだなぁ」

そう言いながらも詠斗もまんざらではない様子でしゃがみ込み、猫のためにティッシュをひきぬいてこよりを作りはじめた。

細くひねったティッシュをねこじゃらし代わりに動かすと、子猫はすぐに飛びついてきた。
獲物を狙うときと同じように真剣な表情だ。

何度でも飛びかかってくる猫をじゃれ合う詠斗を見ている内に、将来詠斗に子供ができたら今みたいな表情で遊ぶのかなと、ふと考えた。

それは燐音が見てみたい将来。
だけど、訪れる可能性がとても低い未来でもある。