ようやく子猫から開放されたものの、両足が痛くて動けない。
どうにか前に伸ばそうとするけれど、固まってしまっている。

「ゆっくり伸ばして、しびれを取らないと」
「わかってるけど……」

それでもうまくいかない。
少し動かすだけで、指先でチョンッと触れるだけで涙が出そうな痛みを感じる。

それでも立ち上がらないといけない理由が燐音にはあった。
「トイレに……行きたくて」

泣きそうな顔でそう言われて詠斗は目を丸くした。
「もしかしてずっとトイレを我慢してたのか?」

「う……ん」
頷きながら四つん這いになり、壁に手を当ててどうにか立ち上がる。

「それを早く言えって」
倒れかけた燐音を詠斗が抱きかかえる。

詠斗はそのまま燐音をお姫様抱っこしてしまった。
「ちょ、詠斗!?」

予想外の展開に燐音は目を白黒させる。