詠斗の声を合図にして燐音が猫の体をギュッと抱きしめる。
その間に詠斗はシャワーを出して水量を一番弱くした。

「温度も大丈夫っと」
手でシャワーの温度を確認して猫が熱くないように設定すると、燐音と猫に向けてお湯をかけた。

燐音の腕の中で子猫がバタバタと暴れる。
「もうちょっと、もうちょっとで終わるからね」

燐音が必死に話しかけて、どうにか泡を落とすことができた。
子猫の毛は最初に見たときよりも更に白くキラキラと輝いていて、とても美しくなった。

そして燐音も……。
「燐音……」

髪の毛からしずくが滴っている燐音を見て、詠斗が動きを止めた。
シャワーのお湯が出っぱなしなことも忘れて燐音を見つめる。

「え？　なに？」
「すっげーキレイ」

なにかにとりつかれたかのように近づいてきて詠斗が突然キスしてきた、
「え、ちょっと！？」