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「わぁ! ちょっと、暴れないで!」
「燐音、ちゃんと捕まえてなきゃダメだろ」

「そんなこと言ったって!」
浴室の中を子猫が走り回り、燐音と詠斗が慌ててそれを追いかけている。

子猫もふたりも泡にまみれた状態で走り回るものだから、お湯の中にまでモコモコの泡が飛んでしまっている。

「猫は水が苦手っていうけど、こいつは手強いな」
詠斗がはぁはぁと肩で呼吸をしている。

「そう……だね。実家の猫はここまで逃げなかったから、きっとシャンプー経験がないんだと思う」

子猫は端っこの方でうずくまって警戒心をむき出しにしている。
みんな泡まみれだし、このまま出るわけにはいかない。

それに入浴時間は15分と決まっている。
「よし、もう1度」