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かくしてふたりの部屋に真っ白な子猫がやってきた。

子猫はまず温めたミルクを飲まされて、その後ひざ掛け毛布にくるまれて丸くなると、スースーと寝息を立て始めた。

「お腹へってたんだね。ミルク全部飲んじゃった」
こっそり食堂から拝借してきた小皿に入れたミルクは空っぽになっている。

「これだけじゃ足りないだろうから、ちゃんとした餌も買ってこないといけないな」
「それならコンビニに行かなきゃね」

そんな会話をするふたりの視線は眠っている子猫に釘付けだ。
こんなに小さくて可愛い生き物が近くにいることで、すっかり癒やされている。

「猫のおやつとかいいかもね。CMでやってる」
「あぁ。人気みたいだなぁ」

「でも。その前にちょっと毛が汚れてるから、洗ってあげようか」
「洗う? どこで?」

詠斗がそう質問したタイミングで、部屋のドアがノックされた。
咄嗟に燐音が背中で子猫を隠し、詠斗が立ち上がってドアを開いた。