猫の首には赤くて細い首輪がつけられていて、猫が歩くたびにチリンチリンと小さな鈴の音が鳴った。
「猫だぁ……!」

燐音が思わず頬を赤らめて膝を折り、猫においでおいでと手招きをする。
「猫が好きなのか?」

「うん! 実家でも白い猫を飼ってるんだよ」
ニコニコと微笑んで肯定しながらも視線はずっと子猫へ向けられている。

産まれてどれくらいなのか、猫は歩き方がまだたどたどしい。
だけど人に慣れている様子で、すぐに燐音に近づいてきた。
「か~わいい」

子猫の背中に触れてふわふわとした毛並みを確かめながら燐音の表情は緩みっぱなしだ。

「首輪をつけてるけど、飼い主はどこにいるんだろうな?」
詠斗がキョロキョロと公園内を見回してみても、それらしい人の姿は見えない。

「う~ん、毛に汚れがついてるし、もしかしたら迷子かもしれないよね?」
触れてみたときの毛並みはすごく良かったから、普段は家の中で飼われていたのかもしれない。