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こうして放課後ふたりで出歩くのってもしかして初めてじゃないか?
燐音がそう気が付いたのは学校近くにあるショップングモールに到着したあとだった。

学校が終わってすぐの時間帯ということで、店内には制服姿が多く見られた。
「なぁんか、これってデートみたいだな?」

手を繋いで歩きながらそう言われて、自分と同じ気持ちでいたのだと気がつく。
「そ、そうだね。なんか照れくさい」

学校から外に出ただけなのに落ち着かない気持ちになってくる。
だけど、嫌じゃない。

「どうせだからもっとデートっぽいことするか」
詠斗はそう言うと燐音の腕を引いて強引に歩き出した。

その先にあるのはゲームセンターで、今の時間帯は学生が何人か遊んでいるだけだった。
「ゲーセンでなにするの?」

「デートと言えばプリクラに決まってるだろ」
ずんずん歩いてゲームセンターの奥にあるプリクラコーナーへと向かう。

そこには何台もの機械が並んでいて、燐音にはなにがなんだかさっぱりわからない。
詠斗もプリクラには詳しくないようで、しばらく悩んだ末に「なんでもいっか」と、一番手前の機械の中に入っていった。