前髪を長く伸ばしているからはっきりと顔をみられたワケじゃないと思うけれど、あの反応はまずいかもしれない。

割れたメガネをかけて燐音は考え込む。
もし自分が可愛いということが知れ渡ったら、また嫌な思いをするかもしれない。

昔の黒歴史が蘇ってきて慌てて左右に首をふって記憶をかき消した。
「燐音、大丈夫か?」

詠斗が心配して声をかけてくるので、燐音は笑顔を浮かべた。
「ちょっとレンズにヒビが入っただけだから、大丈夫だよ」

でもこれをかけていると視界が悪くて危ないかもしれない。
今日はメガネなしで過ごすしかなさそうだった。