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燐音は京介に教えてもらったパックのジュースを持ってひとりで自分の席に座っていた詠斗に近づいた。
「可愛い飲み物が好きなんだね」

そう言って差し出したのはいちごみるくだった。
これが詠斗の一番好きな飲物だと聞いた時、以外すぎてちょっと笑ってしまった。

「なんで知ってるんだ?」
詠斗は驚きながらもジュースを受け取り、すぐにストローを突き刺して飲み始めた。

ゴクゴクと喉を鳴らして飲む姿はとても美味しそうに見えた。
「友達に教えてもらった」

燐音の言葉に詠斗は一瞬驚いたように動きを止め、それから「そうか」と、嬉しそうに微笑んだ。
「本当は僕のことすごく心配してたんだよね? 友達ができないんじゃないかって」

「だって燐音は友達を作るつもりもなかっただろ。でもそれってたぶん、悲しいことじゃないのかなって思ってた」

ひとりでいると決めた燐音を好きになってからどうしてもほっておけなくなった。
せめて自分だけでもと、ずっと一緒にいることを決めた。

「最初に友達になることを約束したのも、僕のため?」