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「だけど俺たちは詠斗に告白することもできなかった」
中学時代を思い出を語り終えた京介がつぶやく。

ふたりが詠斗に特別な感情を抱いていることには気が付いていた。
でも、もう3年以上もその気持を持ち続けていたなんて思ってもいなかった。

そんなところに高校で出会った燐音が割り込んでくれば、誰だっていい気持ちはしなかったはずだ。
ふたりの気持ちが少しだけ理解できた気がする。

「でも、お前は違った。付き合ってるんだろ?」
克也に質問されて燐音は頬を赤く染めてコクンと頷く。

「すげぇよお前。俺たちなんて気持ち伝えることもできなかったのにさ、詠斗の心にすんなり入り込んで……だから、正直すっげぇ悔しかったし、嫉妬した」

それが、ふたりの素直な気持ちだった。
「だから、あんなことをしたんだ。本当に悪かったと思ってる」