『なぁお前ら、いい加減にしろよ』
『本当だよ。練習の邪魔だろうが』

ある日応援があまりにうるさくて京介と克也はついに女子生徒たちへ文句をつけた。
けれどそんなことで引き下がるような連中じゃない。

応援に来ているのになにが悪いのか。
詠斗のようにバスケがうまいわけじゃないのに、口出ししないで。

そんな風に言い返された。
呆れて立ち尽くしていたところに、詠斗がやってきたのだ。

『応援するのもいいけど、あまり大きな声を出したら他の人の迷惑になるから』
詠斗は決して彼女たちを拒絶しなかった。

優しい笑みすら浮かべて、そう諭したのだ。
その程度で静かになる連中じゃないと思っていたが、詠斗の言葉は鶴の一声となった。

その日から女子生徒たちは騒がず静かに練習を見守るようになったのだ。
それは詠斗が憧れの存在であり、誰よりも影響力があるからだった。

そんな詠斗に自分たちもどんどん惹かれていった。
その気持ちが友達としての気持ちではないことに気がつくのに、時間はかからなかった。