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京介と克也と詠斗の3人はもともと同じ中学校だった。

詠斗は小学校時代から続けてきたバスケを中学でもやっていて、その実力は他の生徒たちよりを遥かに上回るものだった。

京介と克也も同じバスケ部に入部した1年生だったけれど、詠斗の活躍にはいつも目を見張った。
『あいつすげぇよな』

『うん。まじでカッコイイよな』
ふたりは部活が終わって帰る時、いつも詠斗のことを話題に上げていた。

憧れと羨望。
そしていつか自分もあんな選手になりたいという強い願い。

詠斗にどれだけ実力差を見せつけられても、ふたりは決して部活動から離れることはなかった。
それはいつか詠斗と肩を並べられるような選手になりたいという気持ちがあったからだった。

部活動をしていると、体育館の外には沢山の女子生徒たちが集まってきていた。
みんな詠斗目当てで、バスケなんて少しも興味のない連中ばかりだ。

京介と克也のふたりはそんな女子生徒を疎ましく感じていた。
こっちは真剣に練習をしているのにキャアキャア騒がしく、邪魔にしかなっていないと感じていたのだ。