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晴れて両思いになったかと思いきや、詠斗は今まで以上に燐音にべったりになってしまった。
休憩時間の度に燐音に近づいていって、自分の膝に燐音を座らせようとする。

「そ、そういうのは違うだろ」
慌てて燐音が拒絶すると、詠斗は首をかしげて「なんで?」と、質問してくる。

いくら男子校でもそこまで濃密なスキンシップをしている生徒たちはいないから、やっぱり悪目立ちをしすぎているのだ。

それでも詠斗はそんなこと関係ないとばかりにくっついてくる。
トイレに行く時も、売店へ行く時も、移動教室のときも常に一緒だ。

「なんだあいつら」
「もしかして付き合ってんのか?」

もちろん、そんな噂が経つのだってあっという間のことだった。
「なぁ、もう、ちょっとくっつきすぎじゃないか?」

顔を真赤に染めた燐音が文句を言ったのは寮でのことだった。
部活を終えて部屋に戻ってきた詠斗は、自分の膝に燐音を座らせた状態でスマホをいじっている。

さっきから密着した背中が熱くて仕方ないのに、詠斗の左手はしっかりと燐音の腰に回されていて逃げることができない。