「えーーーーっ!?」
俺はそのいきなりのぶっ飛んだ行動に言葉を失った。見学者がいきなり非常事態宣言とは一体何がやりたいのか?
ヴィーン! ヴィーン!
けたたましく鳴り響く警報。金属質な音が、シャトル内を震撼させる。
俺は思わず耳を押さえ、眼差しに悪戯っぽい光を宿らせたレヴィアを横目ににらんで口をキュッと結んだ。
直後、シャトル内のあちこちが開き、パシュっと酸素マスクが降りてきた。見回せばエアバッグのように船内のあちこちに緩衝材が展開されていく。
レヴィアは、パカッと開いた操縦席の足元のパネルに手を伸ばすと、奥にガジェットのごついケーブルを差し込んだ。直後、ブワンという幻想的な音ともに操縦席の操縦パネルが青く輝き始める。
「ウッシッシ、成功じゃ!」
レヴィアはグッとガッツポーズを見せた。操縦パネルには船内の状況や周辺のレーダー映像などが所狭しと浮かび上がる。
「えっ? もしかしてこのシャトルを乗っ取ったんですか?」
「そうじゃ、緊急モードにすれば手動起動が可能になるんじゃ。裏技じゃな。くははは」
笑いながらレヴィアは手慣れた様子でパネルをパシパシとタップしていく。
警報が止まるとハッチが閉まり、プラズマエンジンがグォンと盛大な音を立てた。船内に低周波の振動が響く――――。
「燃料ヨシ! ステータス、オールグリーン! 発進じゃ!」
昂揚感溢れる声でレヴィアは叫ぶと、ガチリと操縦桿を引き上げた。
キィィィ――――ン!
甲高い音が響き渡り、シャトルはゆるゆると動き出した。
スペースポートに多数停泊している宇宙船の群れの隙間をゆったりと抜けていく。
おぉぉぉ……。
俺は窓の外を横切っていく大小さまざまな宇宙船たちの迫力に圧倒され、キョロキョロと辺りを見回した。
「お主、シートベルトしとけよ。放り出されるぞ!」
操縦パネルをパシパシと叩きながらレヴィアが叫ぶ。
「え? シートベルトって……どこですか?」
俺がキョロキョロしていると、レヴィアは、
「しょうがない奴じゃ! ここじゃ、ここ!」
と、身を乗り出すと俺の頭の上のボタンを押した。豊満な胸が目の前で揺れて俺は思わずのけぞってしまう。
「ちょ、ちょっと……」
直後、椅子の脇からベルトが何本か出てきてシュルシュルと俺の身体に巻き付き、最後にキュッと身体を締めて固定した。一瞬で椅子と一体になったような安定感に俺は驚かされる。なるほど、これは実に便利な物だ。未来の乗り物はきっとみんなこうなっていくのだろう。
◇
シャトルは徐々に加速し、宇宙港を離れ、海王星へと降りていく。目の前には巨大な紺碧の水平線が美しく弧を描いている。
その時、スピーカーから機械音声がけたたましく響いた――――。
『S-4237F、直ちに停船しなさい。繰り返す。直ちに停船しなさい』
ヒェッ!
停船命令である。有無を言わさない厳格な声に俺の心臓はドクンと鼓動を刻み、額には悪い汗が湧いてくる。
「うるさいのう……」
レヴィアは悪びれる様子もなく、操作パネルをパシパシっと叩くとスピーカーを止めてしまった。
「こんなことして大丈夫なんですか?」
俺はキリキリと痛む胃を押さえながら聞く。不安と緊張で、内臓が捩れてしまっていた。
「全部ヌチ・ギのせいじゃからな。ヌチ・ギに操られたことにして逃げ切るしかない。カハハハ」
レヴィアは開ききってしまった真紅の瞳で豪快に笑う。
俺は無理筋のプランに頭がクラクラした。そんな言い訳通るはずがない。俺も共犯確定だ――――。
しかし、ヌチ・ギの暴挙を止めるのがこの手しかない以上、やらねばならない。もはや覚悟を決めるより他なかった。
俺はそのいきなりのぶっ飛んだ行動に言葉を失った。見学者がいきなり非常事態宣言とは一体何がやりたいのか?
ヴィーン! ヴィーン!
けたたましく鳴り響く警報。金属質な音が、シャトル内を震撼させる。
俺は思わず耳を押さえ、眼差しに悪戯っぽい光を宿らせたレヴィアを横目ににらんで口をキュッと結んだ。
直後、シャトル内のあちこちが開き、パシュっと酸素マスクが降りてきた。見回せばエアバッグのように船内のあちこちに緩衝材が展開されていく。
レヴィアは、パカッと開いた操縦席の足元のパネルに手を伸ばすと、奥にガジェットのごついケーブルを差し込んだ。直後、ブワンという幻想的な音ともに操縦席の操縦パネルが青く輝き始める。
「ウッシッシ、成功じゃ!」
レヴィアはグッとガッツポーズを見せた。操縦パネルには船内の状況や周辺のレーダー映像などが所狭しと浮かび上がる。
「えっ? もしかしてこのシャトルを乗っ取ったんですか?」
「そうじゃ、緊急モードにすれば手動起動が可能になるんじゃ。裏技じゃな。くははは」
笑いながらレヴィアは手慣れた様子でパネルをパシパシとタップしていく。
警報が止まるとハッチが閉まり、プラズマエンジンがグォンと盛大な音を立てた。船内に低周波の振動が響く――――。
「燃料ヨシ! ステータス、オールグリーン! 発進じゃ!」
昂揚感溢れる声でレヴィアは叫ぶと、ガチリと操縦桿を引き上げた。
キィィィ――――ン!
甲高い音が響き渡り、シャトルはゆるゆると動き出した。
スペースポートに多数停泊している宇宙船の群れの隙間をゆったりと抜けていく。
おぉぉぉ……。
俺は窓の外を横切っていく大小さまざまな宇宙船たちの迫力に圧倒され、キョロキョロと辺りを見回した。
「お主、シートベルトしとけよ。放り出されるぞ!」
操縦パネルをパシパシと叩きながらレヴィアが叫ぶ。
「え? シートベルトって……どこですか?」
俺がキョロキョロしていると、レヴィアは、
「しょうがない奴じゃ! ここじゃ、ここ!」
と、身を乗り出すと俺の頭の上のボタンを押した。豊満な胸が目の前で揺れて俺は思わずのけぞってしまう。
「ちょ、ちょっと……」
直後、椅子の脇からベルトが何本か出てきてシュルシュルと俺の身体に巻き付き、最後にキュッと身体を締めて固定した。一瞬で椅子と一体になったような安定感に俺は驚かされる。なるほど、これは実に便利な物だ。未来の乗り物はきっとみんなこうなっていくのだろう。
◇
シャトルは徐々に加速し、宇宙港を離れ、海王星へと降りていく。目の前には巨大な紺碧の水平線が美しく弧を描いている。
その時、スピーカーから機械音声がけたたましく響いた――――。
『S-4237F、直ちに停船しなさい。繰り返す。直ちに停船しなさい』
ヒェッ!
停船命令である。有無を言わさない厳格な声に俺の心臓はドクンと鼓動を刻み、額には悪い汗が湧いてくる。
「うるさいのう……」
レヴィアは悪びれる様子もなく、操作パネルをパシパシっと叩くとスピーカーを止めてしまった。
「こんなことして大丈夫なんですか?」
俺はキリキリと痛む胃を押さえながら聞く。不安と緊張で、内臓が捩れてしまっていた。
「全部ヌチ・ギのせいじゃからな。ヌチ・ギに操られたことにして逃げ切るしかない。カハハハ」
レヴィアは開ききってしまった真紅の瞳で豪快に笑う。
俺は無理筋のプランに頭がクラクラした。そんな言い訳通るはずがない。俺も共犯確定だ――――。
しかし、ヌチ・ギの暴挙を止めるのがこの手しかない以上、やらねばならない。もはや覚悟を決めるより他なかった。