優花は父と山道を歩いていた。
予定通りに写真を撮りに来たのだ。
笑い合う父娘に燦々と陽光が降り注ぎ、暖かい風に草花が揺れる。
その景色を、父娘は小さな箱に収める。
そんな幸せな空間にブレーキの音が襲いかかった。
ひとつの手が娘を突き飛ばした。

穏やかな空間が、空気を引き裂くような悲鳴に変わる。

1つのありふれた家族の幸せが、崩れる。