写真記念

翌日、柑那の心配を超える大惨事が起きた。
教卓の隣に見覚えのある呑気な顔が並んでいた。
「軽井沢から転校してきました、西園寺英生です。よろしくお願いします。」
名字に反応した喧騒も家柄を気にした詮索も、柑那の耳に入ってこなかった。
何をしているんだこいつは?という至極単純な疑問が柑那の頭を支配していた。
「よう」
注目の的の第一声はこれだった。
もう最早大量の視線も気にしていられなかった。
「いやいやいやいや、よう。じゃなくてね?何してんの?転入?乗り込むどころじゃないなぁ、どうした?」
しかし英生は不思議そうに答える。
「どうしたもこうしたも、昨日の件だよ。もう忘れたの?」
「わざわざ転入する?」
「だって2人ともここに居るのに俺だけ軽井沢ってなんか嫌じゃん。」
英生は老舗の超大手企業の西園寺グループ会長のたった一人の孫なのだ。
納得いただけるだろうか。柑那には無理である。
「そうだった。あんたはそういうやつだったよ。で、どうやって渡すの?」
英生に常識は通用しないと思った方がいい。
早速本題を切り出す。
「放課後お前の店に集合とかかな。」
予想は付いていたが、転入に意味が無さそうな所は放っておこう。
「そんな気はしてたよ」
思わずため息を吐く。
「優花ぁ!!」
「はっはい?」
驚かせてしまったことには申し訳無さを感じるものの、逃がしてはならないのだ。
「おお、すげぇ変わったな。」
「折角3人揃ったことだし、放課後うちの店来ない?」
優花は顔を伏せる。
「あ、えっと、ご遠慮します」
予想通りの返事だ。
「そっか、まぁそうだよね。残念だけど、迷惑だよね。ごめんね、急に。」
柑那と英生は揃って机に突っ伏す。
「えっ?あ、やっぱ行きます・・・?」
「ほんと?やったー!聞いたか英生!集合しろよ、ちゃんと!!」
「へっ?」
かかってくれてよかった。
優花は優しいのだ。
「了解。俺一旦帰ってから行く」
「おけ!優花はうちと一緒に行こう!」
「え?え?あ、はい」
何やら騙したようで優花には申し訳ないが、話を進めなければならない。