喪が明けても店主は開店できる状態ではなく、しかし開店しないと収入は母一人に頼る形になり、生活が厳しくなる。
そのため柑那が仮店主として店を切り盛りしていた。
いつもと何も変わらぬドアベルの音が響く。
「いらっしゃいませ」
そこに立っていたのは、優花だった。
「優花?どうしたの?」
外に出てこれるくらいには回復したようで安心した。
しかし柑那が思った返事は返ってこなかった。
「お葬式、来て下さってありがとうございました。」
あの明るい少女はすっかり窶れて、暗くなってしまっていた。
「あの、店主さんは?」
壁をつくられている気がして寂しく、今の自分に何も出来ないのがもどかしく、適切な対応が出来ない無力さに悲しみを感じた。
「大親友の逝去で傷心中。今はうちが仮店主だよ。」
もっと気の利いた言葉選びをしたかったのだが、もう遅いのだ。
「そうですか。お手数ですが、お父様にもお伝え下さい。」
前より心を閉ざされている気がして寂しかった。
今の自分には何も出来ないことがもどかしかった。
臨機応変に対応出来ないことが悔しかった。
何より父親の逝去で周りの誰もが、優花が、変わってしまったのが、どうしようもなく悲しかった。
「そんなにかしこまらないで。大丈夫?じゃあないよね。無理はしないで、何かあったら頼って、幾らでも付き合うから。」
これは柑那の我儘だ。
こんなことを言っても優花を困らせるだけだとわかっていたが、友達という立場を使った我儘を、言わずには居られなかった。
「ありがとう、ございます。」
そう言って優花は鞄から2つのカメラを取り出す。
「あの、このカメラ。ここで売って下さい。」
理解できなかった。
その言葉の意味を捉えた時、感情が奔流となり、頭が真っ白になった。
「・・・え?なんで?大事なんでしょう?一番の宝物って言ってたじゃん。そんな、だってこれ優花パパが買ってくれて、写真好きなんでしょ?もっと上手になるって言ってたじゃん!そんなの悲しいよ、やめてよ!」
「お願い!売って、下さい。」
何も考えずに口に出した言葉を、優花が遮る。
初めて聞いた大きな声に、冷水を浴びせられたように我に返った。
「まさかその為だけにここに来たの?そんな事の為に?」
優花は小さく頷く。
たったそれだけの行動だったが、柑那にとってこの上なく残酷な返答だった。
「そっか。いつでも取りにおいで。それまでは預かっておく。」
優花は、カメラを置き、柑那の前から去って行った。
そのため柑那が仮店主として店を切り盛りしていた。
いつもと何も変わらぬドアベルの音が響く。
「いらっしゃいませ」
そこに立っていたのは、優花だった。
「優花?どうしたの?」
外に出てこれるくらいには回復したようで安心した。
しかし柑那が思った返事は返ってこなかった。
「お葬式、来て下さってありがとうございました。」
あの明るい少女はすっかり窶れて、暗くなってしまっていた。
「あの、店主さんは?」
壁をつくられている気がして寂しく、今の自分に何も出来ないのがもどかしく、適切な対応が出来ない無力さに悲しみを感じた。
「大親友の逝去で傷心中。今はうちが仮店主だよ。」
もっと気の利いた言葉選びをしたかったのだが、もう遅いのだ。
「そうですか。お手数ですが、お父様にもお伝え下さい。」
前より心を閉ざされている気がして寂しかった。
今の自分には何も出来ないことがもどかしかった。
臨機応変に対応出来ないことが悔しかった。
何より父親の逝去で周りの誰もが、優花が、変わってしまったのが、どうしようもなく悲しかった。
「そんなにかしこまらないで。大丈夫?じゃあないよね。無理はしないで、何かあったら頼って、幾らでも付き合うから。」
これは柑那の我儘だ。
こんなことを言っても優花を困らせるだけだとわかっていたが、友達という立場を使った我儘を、言わずには居られなかった。
「ありがとう、ございます。」
そう言って優花は鞄から2つのカメラを取り出す。
「あの、このカメラ。ここで売って下さい。」
理解できなかった。
その言葉の意味を捉えた時、感情が奔流となり、頭が真っ白になった。
「・・・え?なんで?大事なんでしょう?一番の宝物って言ってたじゃん。そんな、だってこれ優花パパが買ってくれて、写真好きなんでしょ?もっと上手になるって言ってたじゃん!そんなの悲しいよ、やめてよ!」
「お願い!売って、下さい。」
何も考えずに口に出した言葉を、優花が遮る。
初めて聞いた大きな声に、冷水を浴びせられたように我に返った。
「まさかその為だけにここに来たの?そんな事の為に?」
優花は小さく頷く。
たったそれだけの行動だったが、柑那にとってこの上なく残酷な返答だった。
「そっか。いつでも取りにおいで。それまでは預かっておく。」
優花は、カメラを置き、柑那の前から去って行った。
