どうやら落ちたのは僕1人だった。

敗因はわかっている。
面接は案の定震えてしまって何言ってるかわからない。でも面接対策で出た
「尊敬する人」
「気になったニュース」
の質問はあった。もちろんなんで答えたか忘れた。

そして作文。問題を見た瞬間また体が震えた。問題文が理解できない。と同時に頭も震え鉛筆握る手も震える。
とりあえず使えと書かれていた文字は使ったがなんで書いているか自分でもわからない。

もう落ちた理由は分かったようなものだ。

僕の顔馴染みの子も受かったが言えなかった。落ちたなんて。笑って受かったよ、と言ったが落ちたことはバレていなきゃいいけど。

初めて「落ちる」っていう経験をして僕は恥ずかしくも泣いてしまった。
もう推薦以外では、テストを受ける試験ではもう受かるところなんてない。
人生終わった。
大学まで行きたいのに。
それで泣いた。
すると担任が
「大丈夫だ、あそこは落ちることがないって言ったろ」
と言うが……。

後日母と共に落ちた高校の校長室に通された。
その時も初めて入る学校、そして静まり返った校長室、滅多に着ないスーツを着た母の横で僕は震えていた。

目の前にいた初老の校長と隣の誰か教師みたいなおじさんが書類を見てなんやかんや話している。
一部見えた書類はあの試験で出された作文だ。それを見てどうするんだろう。

すると校長はニコッと笑った。何か話していたけど緊張で震えてて真っ白になりつつも僕は頭を下げた。

「品行良し、作文もたくさん書けていますし合格です。ぜひ我が高校に来てください」
と校長が言ったのだ。
隣にいた母はありがとうございます! と頭を下げた。僕も下げた。
すると体の震えは止まった。

ほっとした。