「そうだ、記念の写真を撮らないと」
「撮影は直人くんにお願いするね。わたしちょっと手が離せないから」
彩菜の了解を貰った僕はスマホを取り出すと、猫軍団と戯れる彩菜を10枚程撮影した。
さらにはその中からこれはというのを数枚厳選し、彩菜宛てに送ると同時に専用の「彩菜フォルダ」に入れる。
もちろん永久保存する予定だ。
帰ったらパソコンにもバックアップをとっておかないとね。
それからしばらくして、ようやく猫たちも満足したのか。
あるいはお腹が減ってきたからなのか。
それとも単純に飽きたのか。
1匹また1匹と彩菜の元を離れて、その辺でフラフラしたりゴロンゴロンしたり、毛づくろいをし始めたのだった。
「ふー、やっと落ち着いたよ……」
「お疲れさま、彩菜。モテモテだったね」
戦いを終えた彩菜に僕はねぎらいの言葉をかけた。
「モテモテっていうか、全軍突撃って感じだったような……次から次にやって来るから手がちょっと疲れちゃった。猫を撫でて手が疲れるなんて初めての経験だったよ……」
「でもそのおかげでいい写真が撮れたよ、ほら」
僕はスマホを操作して、たくさんの猫に囲まれて必死に撫でる彩菜の画像を見せてあげた。
猫を撫でるっていうか、もはや猫まみれって感じだけど。
ソファの背もたれにも猫が2,3匹乗って、彩菜の首元にすりすりしてるし。
そしてその時。
僕らは隣り合わせで座っていたため、僕のスマホを一緒にのぞき込む時に意図せず顔が急速接近してしまった。
彩菜の横髪が僕の頬にふわっと触れて、僕は否応なくドキッとし、緊張で身体を強張らせてしまう。
うっ、顔が近い。
少し動くだけで鼻と鼻が触れあっちゃいそうだ。
ダメだ。
すごくドキドキして、心臓の音が彩菜に聞こえちゃうかも。
不意の超接近に僕が心臓を高鳴らせながら身体を硬くしてしまっていると――そこに一匹の猫がとてとてとやってきた。
そして親愛の情を示すかのように、彩菜な身体ににごつんとおでこをぶつけたのだ。
「はわ──っ!?」
椅子ではなく柔らかいソファーに座っていたせいで、猫のごつんで彩菜は小さく身体を傾けてしまい――直後、僕と彩菜の唇がチュッと触れ合った。
「「…………」」
「「――──っ!?」」
すぐにお互いパッと身を離す。
その瞬間は何が起こったかわからなかったけど、すぐに理解した。
理解してしまった。
「あ、あの、彩菜?」
「な、なんでしょうか、直人くん」
「えっとその、今、えっと、だから……」
「う、うん……」
「僕がその、彩菜と……」
「直人くんが、わ、わたしと……」
往生際悪く言いよどんでいた僕は、ついに意を決した。
ここで勇気を出さないでいつ出すんだ!
「今、僕と彩菜は――キスしたんだよね?」
「は、はい。キスしちゃいました……」
「……」
「…………」
改めてその事実が相互理解されていることを確認をしたことで、僕の心は激しく動揺してしまう。
だって、だって、だって!
僕たち今、キスしちゃったんだよ!?
キスってことは、つまり口づけってことだよね?
口づけってことは、つまりキスってことだよね?
つまり僕と彩菜は今、キスしたってことだよね!?
だめだ、頭が完全にショートしてしまっている。
自分が何を考えてるのか自分でまったくわかってない。
でも仕方ないでしょ?
彩菜とキスしちゃったんだから!
しかも僕は正真正銘、これがファーストキスだったんだから!
そんなこんなで僕は完全にパニック状態になっていたんだけど。
見ると、彩菜も真っ赤な顔のまま俯いてしまっていた。
さっきまで猫を撫でていた手は今は所在なさげに胸の前で組まれている。
そしてごつんした猫はというと、そんな僕たち2人を置いてすぐにどこかに行ってしまったのだ。
な、なんてやつだ。
責任をとってせめてその辺にいて空気を和ませてよねよね!?
「えっと、わたし……キス、初めてだったんだ……」
「あ、うん、僕も初めてで……」
「そっかぁ、同じだね……。えへっ、嬉しいな……」
そう言って照れくさそうな笑顔を浮かべる彩菜を見て、僕の心臓はさらに高鳴ってしまう。
「うん……僕も嬉しかった」
あまりに緊張しすぎていたからか、僕の口からはただただ素直な感情がこぼれ落ちていた。
「また、しようね。今度は偶然じゃなくて」
「うん」
猫カフェデートによって、僕たちの仲は一気に進展したのだった。
―――――――――
名前で呼び合うのに10万字かかったのに、猫アタックがあったとはいえキスするのはすぐでした!(>_<)
それでも妙にじれったいキスだったので「じれじれ」と言っても問題はないのではないでしょうか!(。>д<)
これにて完全完結です。
温かい応援ありがとうございました!
「撮影は直人くんにお願いするね。わたしちょっと手が離せないから」
彩菜の了解を貰った僕はスマホを取り出すと、猫軍団と戯れる彩菜を10枚程撮影した。
さらにはその中からこれはというのを数枚厳選し、彩菜宛てに送ると同時に専用の「彩菜フォルダ」に入れる。
もちろん永久保存する予定だ。
帰ったらパソコンにもバックアップをとっておかないとね。
それからしばらくして、ようやく猫たちも満足したのか。
あるいはお腹が減ってきたからなのか。
それとも単純に飽きたのか。
1匹また1匹と彩菜の元を離れて、その辺でフラフラしたりゴロンゴロンしたり、毛づくろいをし始めたのだった。
「ふー、やっと落ち着いたよ……」
「お疲れさま、彩菜。モテモテだったね」
戦いを終えた彩菜に僕はねぎらいの言葉をかけた。
「モテモテっていうか、全軍突撃って感じだったような……次から次にやって来るから手がちょっと疲れちゃった。猫を撫でて手が疲れるなんて初めての経験だったよ……」
「でもそのおかげでいい写真が撮れたよ、ほら」
僕はスマホを操作して、たくさんの猫に囲まれて必死に撫でる彩菜の画像を見せてあげた。
猫を撫でるっていうか、もはや猫まみれって感じだけど。
ソファの背もたれにも猫が2,3匹乗って、彩菜の首元にすりすりしてるし。
そしてその時。
僕らは隣り合わせで座っていたため、僕のスマホを一緒にのぞき込む時に意図せず顔が急速接近してしまった。
彩菜の横髪が僕の頬にふわっと触れて、僕は否応なくドキッとし、緊張で身体を強張らせてしまう。
うっ、顔が近い。
少し動くだけで鼻と鼻が触れあっちゃいそうだ。
ダメだ。
すごくドキドキして、心臓の音が彩菜に聞こえちゃうかも。
不意の超接近に僕が心臓を高鳴らせながら身体を硬くしてしまっていると――そこに一匹の猫がとてとてとやってきた。
そして親愛の情を示すかのように、彩菜な身体ににごつんとおでこをぶつけたのだ。
「はわ──っ!?」
椅子ではなく柔らかいソファーに座っていたせいで、猫のごつんで彩菜は小さく身体を傾けてしまい――直後、僕と彩菜の唇がチュッと触れ合った。
「「…………」」
「「――──っ!?」」
すぐにお互いパッと身を離す。
その瞬間は何が起こったかわからなかったけど、すぐに理解した。
理解してしまった。
「あ、あの、彩菜?」
「な、なんでしょうか、直人くん」
「えっとその、今、えっと、だから……」
「う、うん……」
「僕がその、彩菜と……」
「直人くんが、わ、わたしと……」
往生際悪く言いよどんでいた僕は、ついに意を決した。
ここで勇気を出さないでいつ出すんだ!
「今、僕と彩菜は――キスしたんだよね?」
「は、はい。キスしちゃいました……」
「……」
「…………」
改めてその事実が相互理解されていることを確認をしたことで、僕の心は激しく動揺してしまう。
だって、だって、だって!
僕たち今、キスしちゃったんだよ!?
キスってことは、つまり口づけってことだよね?
口づけってことは、つまりキスってことだよね?
つまり僕と彩菜は今、キスしたってことだよね!?
だめだ、頭が完全にショートしてしまっている。
自分が何を考えてるのか自分でまったくわかってない。
でも仕方ないでしょ?
彩菜とキスしちゃったんだから!
しかも僕は正真正銘、これがファーストキスだったんだから!
そんなこんなで僕は完全にパニック状態になっていたんだけど。
見ると、彩菜も真っ赤な顔のまま俯いてしまっていた。
さっきまで猫を撫でていた手は今は所在なさげに胸の前で組まれている。
そしてごつんした猫はというと、そんな僕たち2人を置いてすぐにどこかに行ってしまったのだ。
な、なんてやつだ。
責任をとってせめてその辺にいて空気を和ませてよねよね!?
「えっと、わたし……キス、初めてだったんだ……」
「あ、うん、僕も初めてで……」
「そっかぁ、同じだね……。えへっ、嬉しいな……」
そう言って照れくさそうな笑顔を浮かべる彩菜を見て、僕の心臓はさらに高鳴ってしまう。
「うん……僕も嬉しかった」
あまりに緊張しすぎていたからか、僕の口からはただただ素直な感情がこぼれ落ちていた。
「また、しようね。今度は偶然じゃなくて」
「うん」
猫カフェデートによって、僕たちの仲は一気に進展したのだった。
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名前で呼び合うのに10万字かかったのに、猫アタックがあったとはいえキスするのはすぐでした!(>_<)
それでも妙にじれったいキスだったので「じれじれ」と言っても問題はないのではないでしょうか!(。>д<)
これにて完全完結です。
温かい応援ありがとうございました!