呼び出してきた相手はもちろん西沢さんじゃないし、当然だけど女の子でもなかった。
男子の3年生の先輩3人組だ。
運動部のことは詳しくない僕でも知っている人たちで。
たしかサッカー部のキャプテンと、バスケ部のキャプテンと、柔道部の主将だったはず。
3人とも体格が良くて筋肉質で、しかも3年生の先輩ということもあって、僕はいきなり呼び出されたことに不穏なものを感じていたし、ぶっちゃけ内心ビビりまくっていた。
屋上につくなり僕は開口一番に問いただされた。
「単刀直入に聞くぞ。佐々木、お前西沢と付き合ってるんだってな。これほんとか?」
口を開いたのはサッカー部のキャプテンだ。
他の2人より1歩前に出ているので、彼が3人を代表して話すってことなんだろう。
「はい、そうですけど……」
初対面かつ陽キャの王様とも言えるサッカー部キャプテンの先輩にいきなり高圧的に問われてしまい、根が陰キャな僕は本能的に小さな声で答えてしまう。
「へぇ。なんか西沢の弱みでも握ってんの? それで西沢のこと脅して無理やり付き合わせてたり?」
「まさかそんなことは。しないですよそんなこと」
「ほんとかよ? 西沢を盗撮とかして、それで脅してるんじゃないだろうな?」
「ほ、本当ですって、僕は何もしてません」
「ってもなぁ。だっておかしいだろ? あの学園のアイドル西沢彩菜が、お前みたいな何の特徴もない冴えない帰宅部と付き合うなんてさ」
「それは……そう、かもですね」
西沢さんと僕は不釣り合いだとストレートに言われて――自分でも重々承知しているつもりだったけど――それでも改めて第三者に言われるときついものがあった。
最近は西沢さんとの距離も近くなってる気がしてちょっと浮かれていたけれど、急にガツンと現実を見せられた気がした。
なによりそのことを明確に否定しきれない自分が辛かった。
「じゃあなんでなんだよ?」
「それはえっと、ちょっとしたことで西沢さんに興味を持ってもらって。それで西沢さんに好きって言われたんです。付き合って欲しいって」
もちろんおばあちゃんを助けたとかの具体的な話はしない。
なんだかんだであの一件は、僕にとって西沢さんとの大切な出会いのイベントだったから。
だからそれを見ず知らずの先輩に教えるつもりなんて微塵もありはしなかった。
「おいおい、まさか西沢の方からお前に告白したって? 冗談はよせよな」
「冗談じゃありません。ほんとのことです」
「あのなぁ、西沢は俺たちスクールカーストのトップランカーや、大人顔負けの切れ者生徒会長から告白されても首を縦に振らなかったんだぞ? なのにその西沢がお前みたいなモブに好きって告白したって? 寝言は寝てから言えよ1年」
吐き捨てるように言ったサッカー部キャプテンが、僕の胸倉を絞り上げるように掴んでグイっと引き寄せた。
僕より10センチ以上背が高くて、少し見ただけで鍛えられているとわかる身体をしている。
しかも目の前にはゴールを狙うストライカーのような鋭い目があって、はっきり言ってめちゃくちゃ怖い。
本当のことを言ったのに嘘だと断定されたことに理不尽も感じた。
っていうかこの前はデートで金髪チャラ男のチンピラにすごまれたし。
最近の僕はなんかこんな目にばっかりあってるような……。
だけど僕はビビっていても、決して相手から目を逸らしたりはしなかった。
僕は西沢さんの彼氏として、絶対にここで目を逸らすわけにはいかなかったんだ。
西沢さんが僕に向けてくれる真摯な思いを踏みにじるようなダサい真似だけは、絶対にしたくなかったから――!
男子の3年生の先輩3人組だ。
運動部のことは詳しくない僕でも知っている人たちで。
たしかサッカー部のキャプテンと、バスケ部のキャプテンと、柔道部の主将だったはず。
3人とも体格が良くて筋肉質で、しかも3年生の先輩ということもあって、僕はいきなり呼び出されたことに不穏なものを感じていたし、ぶっちゃけ内心ビビりまくっていた。
屋上につくなり僕は開口一番に問いただされた。
「単刀直入に聞くぞ。佐々木、お前西沢と付き合ってるんだってな。これほんとか?」
口を開いたのはサッカー部のキャプテンだ。
他の2人より1歩前に出ているので、彼が3人を代表して話すってことなんだろう。
「はい、そうですけど……」
初対面かつ陽キャの王様とも言えるサッカー部キャプテンの先輩にいきなり高圧的に問われてしまい、根が陰キャな僕は本能的に小さな声で答えてしまう。
「へぇ。なんか西沢の弱みでも握ってんの? それで西沢のこと脅して無理やり付き合わせてたり?」
「まさかそんなことは。しないですよそんなこと」
「ほんとかよ? 西沢を盗撮とかして、それで脅してるんじゃないだろうな?」
「ほ、本当ですって、僕は何もしてません」
「ってもなぁ。だっておかしいだろ? あの学園のアイドル西沢彩菜が、お前みたいな何の特徴もない冴えない帰宅部と付き合うなんてさ」
「それは……そう、かもですね」
西沢さんと僕は不釣り合いだとストレートに言われて――自分でも重々承知しているつもりだったけど――それでも改めて第三者に言われるときついものがあった。
最近は西沢さんとの距離も近くなってる気がしてちょっと浮かれていたけれど、急にガツンと現実を見せられた気がした。
なによりそのことを明確に否定しきれない自分が辛かった。
「じゃあなんでなんだよ?」
「それはえっと、ちょっとしたことで西沢さんに興味を持ってもらって。それで西沢さんに好きって言われたんです。付き合って欲しいって」
もちろんおばあちゃんを助けたとかの具体的な話はしない。
なんだかんだであの一件は、僕にとって西沢さんとの大切な出会いのイベントだったから。
だからそれを見ず知らずの先輩に教えるつもりなんて微塵もありはしなかった。
「おいおい、まさか西沢の方からお前に告白したって? 冗談はよせよな」
「冗談じゃありません。ほんとのことです」
「あのなぁ、西沢は俺たちスクールカーストのトップランカーや、大人顔負けの切れ者生徒会長から告白されても首を縦に振らなかったんだぞ? なのにその西沢がお前みたいなモブに好きって告白したって? 寝言は寝てから言えよ1年」
吐き捨てるように言ったサッカー部キャプテンが、僕の胸倉を絞り上げるように掴んでグイっと引き寄せた。
僕より10センチ以上背が高くて、少し見ただけで鍛えられているとわかる身体をしている。
しかも目の前にはゴールを狙うストライカーのような鋭い目があって、はっきり言ってめちゃくちゃ怖い。
本当のことを言ったのに嘘だと断定されたことに理不尽も感じた。
っていうかこの前はデートで金髪チャラ男のチンピラにすごまれたし。
最近の僕はなんかこんな目にばっかりあってるような……。
だけど僕はビビっていても、決して相手から目を逸らしたりはしなかった。
僕は西沢さんの彼氏として、絶対にここで目を逸らすわけにはいかなかったんだ。
西沢さんが僕に向けてくれる真摯な思いを踏みにじるようなダサい真似だけは、絶対にしたくなかったから――!