で、僕の話に戻るんだけど。
高校に入る時に初めてスマホを買ってもらえたので、登録されている友達はその後友達になった柴田君だけしかいないんだよね。
そういう僕だったから、実質的にラインを使う機会は今までほとんどなかったのだ。
実にぼっち底辺男子らしいライン事情だね。
え、クラスのライングループ?
そんなの友達が1人だけで、連絡先がわずか3件しかない僕が参加させてもらえるわけないでしょ?
あるっぽいのは知ってたけど、それだけ。
もちろんライングループに入れて貰いに行く勇気なんてものは、僕にはありはしなかった。
僕はとても悲しい告白をしたんだけど、
「佐々木くんに女の子の友達がいないってほんとだったんだね」
西沢さんが少し驚いたように言った。
「はからずも証明されちゃったでしょ?」
「ふーん、佐々木くんって優しそうだし人気ありそうなのになぁ」
「それは西沢さんの目が曇ってると思う」
僕は速攻で断言する。
「あの、そこまではっきり言わなくても……でもでも、つまりわたしが佐々木くんの初めての女の子の友達で、初めての彼女で。初めてライン交換する女の子ってことだよね?」
西沢さんが言葉を弾ませながら妙に嬉しそうに言ってくる。
「そうなるね」
「じゃあ早く連絡先交換しようよ、わたしが佐々木くんの初めての女の子になるんだから」
「初めての女の子って、その言い方はなんていうかその……」
「え……? 初めての女の子――って、ふあっ!? もう、佐々木くんのえっち!」
「ち、違うから! 誤解だよ!」
「もう全然そう言う意味じゃなかったのに、ほんと男の子ってえっちなんだもん」
「だからほんとに違うんだってば!? それよりほら、はやく連絡先交換しようよ、ね?」
僕は急いでスマホを操作するとQRコードを表示させた。
「もう、しょうがないなぁ。今のは特別に聞かなかったことにしてあげます」
とかなんとか言いながらの西沢さんがスマホを重ねて読み取ってくれて、すぐに連絡先の登録は完了した。
(今、僕は西沢さんとラインIDを交換したんだよね)
あの西沢さんと僕がだよ?
教室でチラッと見るだけでも幸せだった学園のアイドル西沢さんに告白されて、連絡先まで交換してしまったのだ。
もちろん女の子と連絡先を交換するのは正真正銘嘘偽りなく初めての経験だ。
こうして僕は生まれて初めて、女の子の連絡先を手に入れたのだった。
友だちリストに登録された、白黒のツートンカラーの猫のプロフィール画像と『彩菜』という名前。
それを見ていると、なんだかむずむずと背中が痒くなってくる。
今の僕は間違いなくにやついている。
表情筋がだらしなくなっているのが自分でもわかるから。
でも気持ちだけじゃなくて、こうやって実際にデータとして目に見える形で繋がったことで、西沢さんが彼女になったんだと改めて認識できた気がしたのだ。
しかもそれが本来ならクラスメイトという以外に全く接点すらない学園のアイドルと呼ばれるほどに可愛い西沢さんのものだと思うと、僕の心には幸せが堰を切ったように湧き上がってくるのだった。
高校に入る時に初めてスマホを買ってもらえたので、登録されている友達はその後友達になった柴田君だけしかいないんだよね。
そういう僕だったから、実質的にラインを使う機会は今までほとんどなかったのだ。
実にぼっち底辺男子らしいライン事情だね。
え、クラスのライングループ?
そんなの友達が1人だけで、連絡先がわずか3件しかない僕が参加させてもらえるわけないでしょ?
あるっぽいのは知ってたけど、それだけ。
もちろんライングループに入れて貰いに行く勇気なんてものは、僕にはありはしなかった。
僕はとても悲しい告白をしたんだけど、
「佐々木くんに女の子の友達がいないってほんとだったんだね」
西沢さんが少し驚いたように言った。
「はからずも証明されちゃったでしょ?」
「ふーん、佐々木くんって優しそうだし人気ありそうなのになぁ」
「それは西沢さんの目が曇ってると思う」
僕は速攻で断言する。
「あの、そこまではっきり言わなくても……でもでも、つまりわたしが佐々木くんの初めての女の子の友達で、初めての彼女で。初めてライン交換する女の子ってことだよね?」
西沢さんが言葉を弾ませながら妙に嬉しそうに言ってくる。
「そうなるね」
「じゃあ早く連絡先交換しようよ、わたしが佐々木くんの初めての女の子になるんだから」
「初めての女の子って、その言い方はなんていうかその……」
「え……? 初めての女の子――って、ふあっ!? もう、佐々木くんのえっち!」
「ち、違うから! 誤解だよ!」
「もう全然そう言う意味じゃなかったのに、ほんと男の子ってえっちなんだもん」
「だからほんとに違うんだってば!? それよりほら、はやく連絡先交換しようよ、ね?」
僕は急いでスマホを操作するとQRコードを表示させた。
「もう、しょうがないなぁ。今のは特別に聞かなかったことにしてあげます」
とかなんとか言いながらの西沢さんがスマホを重ねて読み取ってくれて、すぐに連絡先の登録は完了した。
(今、僕は西沢さんとラインIDを交換したんだよね)
あの西沢さんと僕がだよ?
教室でチラッと見るだけでも幸せだった学園のアイドル西沢さんに告白されて、連絡先まで交換してしまったのだ。
もちろん女の子と連絡先を交換するのは正真正銘嘘偽りなく初めての経験だ。
こうして僕は生まれて初めて、女の子の連絡先を手に入れたのだった。
友だちリストに登録された、白黒のツートンカラーの猫のプロフィール画像と『彩菜』という名前。
それを見ていると、なんだかむずむずと背中が痒くなってくる。
今の僕は間違いなくにやついている。
表情筋がだらしなくなっているのが自分でもわかるから。
でも気持ちだけじゃなくて、こうやって実際にデータとして目に見える形で繋がったことで、西沢さんが彼女になったんだと改めて認識できた気がしたのだ。
しかもそれが本来ならクラスメイトという以外に全く接点すらない学園のアイドルと呼ばれるほどに可愛い西沢さんのものだと思うと、僕の心には幸せが堰を切ったように湧き上がってくるのだった。